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社説2 外国にいる子に手当は不要(3/17)

 鳩山政権の目玉政策である子ども手当法案が衆院を通過した。参院の審議を経て年度内に成立、6月に第1回の支給を目指す。この子ども手当は十分な財源の裏付けもなく、制度の中身もあいまいで問題が多い。

 その一つが日本に住む外国人への支給だ。法案は国籍を問わず、日本に住み、子どもを育てる親に手当を支給するとしているが、子どもの居住地は定めていない。そのため、母国に子どもを残して働く外国人も、子どもの人数分の手当をもらえる。

 衆院厚生労働委員会でこの点を批判された鳩山由紀夫首相は、2011年度の本格実施に際し、中身を見直す考えを示した。見直しを先延ばしする理由はない。参院で速やかに審議し、国内に住む子どもに限定して給付するようにすべきだ。

 子ども手当を支給する条件は、これまでの児童手当を踏襲している。1972年に児童手当制度ができた時は対象を日本人に限っていたが、難民と自国民の差別を禁じる条約への加入を機に、支給に際しての国籍要件をなくした。

 厚労省は児童手当を配る際に、住民票や送金証明書など子どもの所在がわかる資料の確認を自治体に求めているが、きちんと把握できているかは疑問だ。国は外国人受給者の数さえつかんでいない。

 子ども手当の金額は児童手当より額も多く、対象年齢も広い。不正受給も懸念される。同じ手当でも母子家庭などに払われる児童扶養手当は、子が日本に住む場合に限り外国人にも支給している。国内に住んでいれば養育状況もつかみやすいし、配ったお金も主に日本で使われる。

 子ども手当に必要な財源は10年度で2兆3千億円、11年度からは防衛費を上回る5兆3千億円に達する。有り余る財源があるならいざしらず、財政は火の車で10年度に44兆円もの新規国債発行が必要だ。

 10年度についてさえ、子ども手当は国の費用だけではまかなえなかった。そのため児童手当の仕組みを残し、自治体と企業に必要なお金の一部を負担させる。さらに満額を配る11年度以降、財源をどう用意するかという問題が残る。支給の条件をいいかげんにするようでは国民の理解は得られない。

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