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天声人語

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2010年3月16日(火)付

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 ハトは生まれて半年もすれば成熟し、年に十数個もの卵を産み始めるそうだ。強い繁殖力は都市のハト害の背景でもある。かと思えば、「チェンジ」の多産を期待されながら、なかなかその気配のないハトもいる▼鳩山政権の半年である。日米密約の解明など、変化の卵も何個か転がり出たが、ため息はその何倍も出た。鳩山首相と小沢幹事長が招いた失地は、もはや醜聞の主が代わるまで戻るまい。民主党内は息苦しさで満ちている▼財政赤字に切り込む前に、ばらまき政策に突き進むのも気がかりだ。早晩、消費税の引き上げが浮上しよう。普天間の先は見えず、景気が劇的に上向く気配もない。なのに、首相には危機感やリーダーシップが見えない▼そんなこんなで、発足時に70%あった内閣支持率は半減した。期待で水ぶくれした支持がはがれ落ちている。そいつをいただこうと、この間まで大臣だった自民党の面々から新党の誘いが止まらない。首相の弟さんがそうであるように、こんな時、政治家は妙に生き生きする▼さて「失望」の受け皿は、再びの自民党か、それを割って出る勢力か、はたまた野党第2党をうかがう「みんなの党」か。いやいや、大量棄権という「げんなりの党」かもしれない▼英国の思想家、カーライルの金言に〈経験は最良の教師である。ただし授業料がめっぽう高い〉がある。授業料を議席で払う政党はまだしも、国民にはここで勉強している余裕はない。歴史的な政権交代を痛い経験で終わらせては、この国はまた何年かを失うことになる。

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