HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61517 Content-Type: text/html ETag: "add2b-15f2-d6504300" Expires: Sun, 14 Mar 2010 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 14 Mar 2010 23:21:10 GMT Connection: close 赤字地方空港 大甘な需要予測のツケだ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

赤字地方空港 大甘な需要予測のツケだ(3月15日付・読売社説)

 開港時に国内定期便が1便も飛ばない空港が誕生した。前途は多難というしかない。

 国内98番目となる茨城空港が開港した。羽田、成田に続く「首都圏第三空港」という触れこみだが、4月中旬に就航する神戸便を加えても、定期便は2路線しか決まっていない。

 茨城県は、航空会社が支払う着陸料が安いことなどを訴え、誘致に懸命だ。しかし、羽田、成田の発着枠が増えることから、便数増は難しい状況にある。

 着工前には札幌、大阪便などが就航し、年間81万人が利用すると見込んでいたが、実際の利用者は20万人前後にとどまりそうだ。空港ビルは早くも年2000万円程度の赤字が確実だという。

 昨年開港したばかりの静岡空港も、日本航空が撤退を表明するなど、綱渡りの運営が続いている。採算がとれない空港が、なぜ次々に開港してしまうのだろうか。

 それは、着工前に立てる需要予測が甘すぎるためだ。

 国土交通省のまとめによると、2008年度の利用実績が開港、拡張前の予測を上回ったのは、熊本、那覇など8空港だけだ。国交省は、「不況で予想以上に需要が落ち込んだ」などと説明する。

 だが、予測の多くを受託する財団法人には、国交省OBが天下りしている。国内航空網の拡充を急ぎたい同省の意向を踏まえ、「建設ありき」の水ぶくれした予測を意図的にこしらえていた面も否定できまい。

 公共事業がほしい地方の政界や産業界が空港建設の声をあげ、官僚も省益のため、それを後押しする――。こんな、もたれあいの構図も透けて見える。

 建設費を賄う国の特別会計の仕組みにも問題があった。財源の大半は着陸料などの形で航空会社が負担するため、国は空港をつくって就航便を増やすほど新たな財源が得られる。赤字空港が赤字空港を生む悪循環が生じやすい。

 だが、国や地方の財政が逼迫(ひっぱく)する中、赤字の垂れ流しは、もう許されない。地域住民の暮らしを支える離島などを除き、不採算空港は近接空港との統合や廃止を進めることが必要だろう。

 各空港が収支を公表し、大甘の需要予測を厳格に検証し直すことが不可欠だ。特別会計も抜本的に見直し、羽田のハブ化など、拠点空港に予算を集中する仕組みに改めるべきだ。

 茨城開港で予定された国内空港の整備はほぼ終了する。航空行政再構築の転機としてほしい。

2010年3月15日00時58分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です