HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61358 Content-Type: text/html ETag: "b9711-160c-d6504300" Expires: Sun, 14 Mar 2010 22:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 14 Mar 2010 22:21:05 GMT Connection: close 海賊対処1年 P3Cの増派を検討しては : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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海賊対処1年 P3Cの増派を検討しては(3月15日付・読売社説)

 ソマリア沖の海賊対策は、国際社会にとって息の長い戦いとなろう。日本も、腰を据えた取り組みが求められる。

 海上自衛隊が護衛艦2隻を現地に派遣してから、1年が経過した。

 当初は、自衛隊法の海上警備行動に基づく派遣で、日本関係船舶しか護衛できなかった。昨年6月に海賊対処法が成立し、外国船舶も警護が可能になった。停船命令に応じない不審船への船体射撃など、武器使用権限も拡大した。

 護衛は110回を超え、新法下では1回平均7・7隻を守る。この間、日本関係船舶に被害はなく、海自が発砲する場面もない。抑止力がきちんと機能している。

 P3C哨戒機2機も派遣され、上空から海域を監視する。160回以上飛行し、海自や他国の艦船に、海賊の疑いのある不審船の情報を提供している。武器の押収につながった例もある。

 現地では、約30か国の艦船30〜40隻と哨戒機数機が海賊対処活動に従事している。広大な海域で、漁船を装いつつ、ゲリラ的に民間船舶を襲う海賊に対抗するには、情報共有と国際連携が重要だ。

 様々な国と協力した経験と教訓は、海自にとっても貴重な財産となるはずだ。今後も、着実に任務を果たしてもらいたい。

 一方で、ソマリア沖の海賊被害は昨年、217件と前年の2倍近くに増えた。乗っ取られた船は47隻、人質は867人に上る。日本が活動するソマリア北方のアデン湾よりも、警護が手薄な東方沖での被害が増えている。

 1月末に開かれた海賊対策の国際会議では、各国に艦船や哨戒機の増派が呼びかけられた。

 日本も前向きに対応したい。例えば、P3Cの追加派遣を検討してはどうか。

 海自は94機のP3Cを保有し、哨戒能力は高い。得意分野で情報提供し、他国に貢献すれば、信頼関係を強化できる。1月のインド洋での給油活動終了で低下した存在感の挽回(ばんかい)にもつながろう。

 外交面の努力も欠かせない。

 ソマリアでは、無政府状態が続き、行政・法執行能力の回復は困難な状況にある。イエメン、ジブチなど周辺国の海上保安能力の向上に重点を置かざるを得ない。

 日本は、ジブチの海上保安官訓練センターの創設やイエメンへの巡視艇の供与について、準備を進めている。海賊を訴追・処罰するため、ケニアなどにも資金を拠出した。中長期的に、こうした支援を強化する必要がある。

2010年3月15日00時58分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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