HTTP/1.0 200 OK Age: 237 Accept-Ranges: bytes Date: Sun, 14 Mar 2010 23:17:10 GMT Content-Length: 7631 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Last-Modified: Sun, 14 Mar 2010 14:33:07 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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春秋(3/15)

 古代ローマの建築技師が時空のトンネルを抜け、現代の日本と行ったり来たり。昨年末に出版され漫画好きの注目を集めている作品の筋立てだ。画期的なのは主人公を浴場専門の設計家にした点。日本側の出入り口も風呂に限っている。

▼銭湯の壁画に目を見張り、露天風呂を楽しみ、家庭用の風呂おけのふたに感心する。古代ローマに戻るたびに日本で見たものをこっそり応用し、設計家として名を上げていく。読者は主人公の驚きぶりを笑いつつ、日本の風呂文化の奥深さや、工夫の数々を再発見できる仕掛け。作者は欧州在住の日本人だそうだ。

▼これまで日本の成長をけん引したのは、クルマや電気製品などのものづくり産業だった。今後は原動力を何に求めるか。期待されているものの一つが日本の生活文化だという。米国が戦後、映画などを通じ自国の生活様式そのものを広めることで、衣食住から娯楽まで幅広い分野で販路を世界に拡大した例もある。

▼漫画のローマ人だけでなく、外国人の観光客から温泉の人気は高い。ある銭湯チェーンは海外展開を準備中だ。温水洗浄便座や紙おむつという、清潔で快適な生活を支える日本製品も、新興国など海外で売り上げを伸ばす。普段あって当たり前と感じている身近なものの中にこそ、成長のヒントは見つかりそうだ。

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