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天声人語

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2010年3月15日(月)付

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 どうもスターリン的だね、と思った人もいただろうか。先ごろモスクワから届いた「天気予報を外したら処罰」という記事が面白かった。ロシア緊急事態省の大臣が、予報が間違ったら責任をとれ、と発言したそうだ▼気象庁の長官は「罰金や刑務所で予報の不正確さは防げない」と反論した。大臣が「商品を売って金をもらうなら商品の質には責任を持て」と言えば、長官も「絶対正確など100万年後も無理」と負けていない。この火花、どう決着がついたのか知りたいところだ▼日本もかつては「当たらぬものは天気予報と宝くじ」と揶揄(やゆ)された。「気象庁」を三度唱えて食あたりを防ぐまじないもあった。予報が「当たらない」ことに引っ掛けた、きつい皮肉である▼いまは随分正確になった。それでも「外れて泰然としているのは競馬評論家ぐらいにしてほしい」という苦言が、先ごろの声欄に載った。天気に左右される仕事に就く人の、偽らざる胸の内だろう▼とはいえ「降水」の的中率はいま、翌日の予報に限れば8割を超すそうだ。しかし人は往々にして、当たりより外れたいらだちを記憶する。いきおい2割弱の誤りは、数字以上に不評を買うはめになりがちだ▼誰もが天を戴(いただ)いて暮らすから、天気予報は万人にかかわる。関連で今一番の注目は、民間会社が入り乱れる桜の開花予想だろうか。ちぢこまった季節が過ぎてイベントも宴(うたげ)も満開になる。「花に嵐」も気にかかる。津波警報ほどではないにせよ、外れて泰然とはいかぬ桜前線が、列島北上の途についた。

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