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沖縄無利子預金 行き過ぎた日本の秘密主義(3月14日付・読売社説)

 1972年の沖縄返還をめぐる日米間の新たな密約が、今度は財務省で確認された。

 72〜99年の27年間にわたり、当時の大蔵省と日本銀行が計1億ドル以上の預金をニューヨーク連邦準備銀行に無利子で預けていた。

 米軍統治下の沖縄で流通していたドルを日本政府が円に交換、回収したものが原資とされる。無利子でなければ、本来は27年間で7000万ドル超の運用益が出ていたはず、との試算がある。

 沖縄返還をめぐっては、外務省の有識者委員会が、米側が負担すべき米軍用地の原状回復補償費400万ドルを日本側が肩代わりするとの密約を認定したばかりだ。

 無利子預金は、これとは別に、正式な返還協定には含まれない「裏負担」として、日本側がより多額の財政負担をしていたことをうかがわせるものである。

 財務省は、日本側が回収した1億ドルを運用すると「棚ぼた的利得」が生じるため、無利子にすることで相殺した、と説明している。

 しかし、沖縄返還という国家的目標の実現のためとはいえ、国民に一切の説明をしないまま、これだけ巨額の財政措置を行ったことには、疑問が残る。

 政府が当時、国民に率直に説明しておけば、最終的に理解が得られたのではないか。

 無利子預金に関する合意は、日米の財政当局が69年に署名した文書に盛り込まれており、米側は既にこの文書を公開している。

 ところが、日本側では、文書が見つからなかったうえ、旧大蔵省内でも合意がきちんと組織的に引き継がれていなかった。このため、合意がどういう経緯で結ばれたのか、などの詳細は解明されないままになっている。

 こうした重要な文書が政府内できちんと保管されていなかったのは、大きな問題である。

 財務省は、歴史資料の長期保存や保存期間終了後の国立公文書館への移管の徹底など、文書管理の改善策を公表した。ずさんな文書管理が繰り返されないよう、職員を教育することが求められる。

 1960年の日米安全保障条約改定時の核搭載艦船の日本寄港などに関する密約問題でも、一部の重要文書が見つからず、外務省幹部によって意図的に廃棄された可能性が指摘されている。

 外務省は、岡田外相を本部長とする外交記録公開・文書管理対策本部で、外交文書の管理・公開のあり方を見直す方針だ。早期に具体策を示してもらいたい。

2010年3月14日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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