HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 11 Mar 2010 22:14:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ベトナム戦争をめぐる米国防総省の極秘報告書を報じた新聞の発…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年3月11日

 ベトナム戦争をめぐる米国防総省の極秘報告書を報じた新聞の発行差し止めを米政府が求めた裁判で、米連邦最高裁が約四十年前に下した判決にこんな言葉がある。<統治における秘密は反民主主義的であり、官僚政治における過ちを永続させる>▼日米間の密約が明らかになったのは、情報の開示を民主主義の根幹とする米国で公開された公文書や高官の証言が発端だ。それでも日本政府は、密約の存在を一貫して認めてこなかった▼密約を検証した外務省の有識者委員会が提出した報告書は、国民を欺いてきた事実を歴代自民党政権に突きつけたが、首相経験者の反応はまるで人ごとのようだった▼沖縄返還の原状回復補償費を肩代わりする密約で、米国の公文書館にあった吉野文六外務省アメリカ局長(当時)の署名の入った文書など発見できなかった文書も少なくなかった。意図的な廃棄が疑われても仕方がない▼外交交渉の過程をすべて明らかにしたら、交渉にならないという理屈は分かるが、重要な文書が残されていないのなら、後世の国民は何があったのかを検証するすべを失ってしまう▼佐藤栄作元首相が非核三原則の「持ち込ませず」は誤りだったと後悔していたことも明らかになった。唯一の被爆国として、非核三原則を国是に掲げたことがノーベル平和賞の受賞理由だったはず。ますます釈然としない。

 

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