HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60430 Content-Type: text/html ETag: "fd551-1153-6ada0740" Expires: Thu, 11 Mar 2010 02:21:16 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 11 Mar 2010 02:21:16 GMT Connection: close 3月10日付 よみうり寸評 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

3月10日付 よみうり寸評

 外務省の有識者委員会が検証した日米間の四つの「密約」は、うち三つが「密約、広義の密約」で残る一つは「密約といえない」となった◆ただ一つ、密約に当たらないとされたのは「沖縄への核の再配備」問題。密約でないにしても、この件では、必ず1冊の重い著作を思い出す。〈他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス〉のことだ◆かつて佐藤栄作首相の特使として米国と沖縄返還の秘密交渉に当たった若泉敬・元京都産業大学教授の著書で1994年の刊。昨秋には新装版も出ている◆副題に〈核密約の真実〉とあるが、今回の検証では「密約といえない」とされた。それを著者はどう思うだろうか◆〈他策ナカリシヲ〉のタイトルは外交の大先達・陸奥宗光の著「蹇蹇(けんけん)録」の文章から取った。その強い思いで秘密交渉を遂げた著者はこの書の公刊後、世を去った◆外交に一命をかけた重みを思う。今、普天間移設を進める鳩山外交の迷走に〈他策ナカリシヲ〉の気迫を感じない。密約の検証は今後に生かさなければ意味がない。

2010年3月10日14時17分  読売新聞)
現在位置は
です