HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61795 Content-Type: text/html ETag: "b9490-15bb-4db98c40" Expires: Sun, 07 Mar 2010 22:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 07 Mar 2010 22:21:06 GMT Connection: close 商業捕鯨再開 IWC議長案を軸に歩み寄れ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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商業捕鯨再開 IWC議長案を軸に歩み寄れ(3月8日付・読売社説)

 20年以上も途絶えている商業捕鯨の再開を認めるか否か、国際捕鯨委員会(IWC)で、本格的な協議が始まった。

 たたき台となるのは、新たにまとめられたIWC議長案だ。南極海などでの日本の調査捕鯨を今後10年間停止する代わりに、南極海や日本沿岸での商業捕鯨再開を、事実上認めている。

 捕鯨国、反捕鯨国双方の主張に配慮し、長年の対立を解き得る現実的な提案といえる。6月のIWC総会での合意に向け、加盟国は前向きに議論すべきだ。

 日本はIWCの決定に従い、1987年に沿岸を含む商業捕鯨から撤退したが、その後も生態系調査のためとして、年間1000頭前後のクジラを捕っている。

 この調査捕鯨は、国際条約で認められた正当な行為だ。しかし、捕獲頭数などにはIWCの管理が及ばないため、反捕鯨国は「調査に名を借りた商業捕鯨だ」と、日本を強く非難している。

 こうした批判を受けて、議長案は、商業捕鯨や調査捕鯨といった区分を取り払い、IWCが海域や鯨種ごとに捕獲頭数の上限を決める、としている。

 議長案が具体化すれば、日本沿岸でのミンククジラなどを対象とした捕鯨も本格再開できる。沿岸捕鯨の拠点漁港は再び活性化し、捕鯨技術や食文化の承継にも道筋がつけられる。

 南極海の調査捕鯨には、将来の商業捕鯨の再開に備える狙いもあった。しかし、国内の鯨肉消費は伸び悩み、もはや大規模な調査捕鯨に固執する意味は薄れている。議長案は日本にとっても、十分検討に値しよう。

 ただ、議長案は鯨種ごとの捕獲頭数を示さず、10年後の捕鯨の継続も確約していない。持続的な捕鯨が保証されないようなら、安易な妥協は禁物である。

 反捕鯨国のオーストラリアは議長案に反発し、南極海での捕鯨を5年以内に廃止する独自案をIWCに提出した。日本が調査捕鯨をやめなければ、11月までに国際司法裁判所に提訴するという。

 これまで積み上げてきた対話の努力を無にする身勝手な主張だ。クジラの保護を考えるなら、捕鯨国とともに、IWCによる科学的な資源管理の方策を真剣に考えるべきではないか。

 オーストラリア警察当局は、日本の捕鯨船に過激な妨害を繰り返す「シー・シェパード」の抗議船を捜索した。国際社会と協調し、無法な行為は許さない、との姿勢を行動で示すことも大切だ。

2010年3月8日01時18分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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