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社説2 排出量取引は低炭素化の柱(3/6)

 政府が12日にも閣議決定を目指す地球温暖化対策基本法案に、温暖化ガスの排出量取引制度を盛り込むことに産業界などが異論を唱えている。確実に温暖化ガスを減らすため、大工場などに排出の上限(排出枠)を設ける取引制度導入が必要だ。

 取引制度は、排出枠を設けたうえ、超過達成分や不足分を売り買いする仕組み。温暖化ガス排出に値段を付けコストを明確にすることで、企業に対策設備の導入を促す。企業の省エネは進んでいるが、少ない費用で効果をあげる余地はまだある。

 産業界のほか、労働界にも雇用への懸念から、排出枠による総量規制でなく、エネルギー効率の改善を目標にすることを望む声がある。

 しかし、削減を確実に実現し、欧州などの取引制度との連携を視野に入れるなら、総量規制を基本にするのが望ましい。省エネ投資を進めるうえで総量規制がよいと考える企業もある。東京都も排出枠をもつ取引制度を4月に発足させる。

 政府には時期も含めて、制度導入を法案に明記するよう求めたい。早く案を示し、広く意見を募って制度づくりに取り組むべきだ。法案づくりの過程が不透明なため、不信感をあおっている。

 法案には、国内の温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%減らす目標を盛る。米中はじめ温暖化ガスの大排出国が、温暖化対策の国際枠組みに参加することを前提条件とする。

 ただ、国際交渉は、現状では合意の見通しがたたない。今は交渉の進展を待つことなく、日本が実施すべき最低限の国内目標を決めて、早く対策を実行に移すべきときだ。

 世界は低炭素化に踏み出している。欧州連合は、再生可能エネルギーや次世代送電網への集中投資で産業競争力を高める新成長戦略を発表した。米国は原子力発電所の建設再開に本腰を入れる。

 温暖化対策だけが低炭素化の目的ではない。化石燃料への依存を減らし、同時に新たな成長と雇用の機会をうかがう「一石三鳥」を狙った競争の舞台でもある。国際交渉の遅れを理由に、国内対策の手を緩めてはならず、そのためにも適切な排出枠を設けた排出量取引制度が要る。

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