HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61719 Content-Type: text/html ETag: "add6f-161e-499cc4c0" Expires: Fri, 05 Mar 2010 00:21:11 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 05 Mar 2010 00:21:11 GMT Connection: close 高校無償化 格差解消の本質を見失うな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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高校無償化 格差解消の本質を見失うな(3月5日付・読売社説)

 高校の授業料無償化法案の本格審議が、5日から衆院文部科学委員会で始まる。限られた財源で教育格差をどう解消していくか。それが本質ということを見失ってはならない。

 政府案では、公立高校生の授業料を無償化し、私立高校生には公立の授業料と同額を支給する。私立の低所得層には1・5〜2倍にするが、概算要求時より増額対象とする世帯の年収額を引き下げたため、対象者はかなり減った。

 予算案は衆院を通過したが、財政事情の厳しい中、所得制限を設けていれば、もっと低所得層支援や公私間格差の解消に回せる財源を捻出(ねんしゅつ)できたのではないか。

 高校生の約3割は私立に通う。その負担を減らすため、文部科学省が総務省に要望していた地方交付税措置は5分の1になった。

 私立に限らず、入学金や教科書代を援助する低所得層への給付型奨学金も、概算要求で計上した120億円余りは全額削られた。

 川端文部科学相らは、所得制限を設けない理由に、社会全体で子どもの教育を支援するという理念の実現などを挙げる。だが、目の前の格差縮小のほうが先決だ。

 無償化をめぐっては、朝鮮学校の扱いも焦点になっている。中井国家公安委員長が対象外とするよう、文科相に要請したからだ。北朝鮮による拉致問題に絡み、「制裁をかけていることを十分考慮してほしい」という理由だ。

 外国人学校の扱いは、各国で異なる。日本では、学校教育法で朝鮮学校などの外国人学校を各種学校とし、高校などの学校や専修学校とは区別している。

 ただ、朝鮮学校では、朝鮮語や朝鮮史などのほか、数学や英語など高校と同じ教科も教えている。大学受験資格も多くの大学が認めており、高校総体などスポーツ大会にも参加できる。生徒には朝鮮籍だけでなく、韓国籍も多い。

 民主党が「子育て・教育」政策の中に、授業料無償化とともに位置づけた子ども手当は、親の住所が日本国内にあれば支給される。両者の整合性も必要になる。

 北朝鮮による核開発やミサイル発射、拉致問題への国民の反発はあるにせよ、今回の問題で朝鮮学校を他の外国人学校とことさら区別するのは、無理があろう。

 法案では、生徒に授業料分を支給する専修、各種学校は、「高校に類する課程を置くもの」に限られている。その判断基準は、法案成立後、国会審議を踏まえて文科省令で定める。きちんと説明のつく内容にすべきだ。

2010年3月5日00時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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