HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61587 Content-Type: text/html ETag: "a8639-15e1-4d304bc0" Expires: Fri, 05 Mar 2010 01:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 05 Mar 2010 01:21:06 GMT Connection: close 国・地方協議 単なる陳情の場では困る : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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国・地方協議 単なる陳情の場では困る(3月5日付・読売社説)

 新たな協議機関を、単なる陳情の場にしてはなるまい。前向きな議論を重ね、成果を生むためには、国と地方の双方の努力が欠かせない。

 全国知事会など地方6団体が長年求めていた協議機関「国と地方の協議の場」を法制化する法案がまとまった。政府が5日、閣議決定し、国会に提出する。

 協議のメンバーは、国が官房長官、総務相、財務相ら、地方が6団体の代表各1人だ。地方側は、首相もメンバーとするよう求めていたが、法案では、首相はメンバーとせず、協議の招集者として自由に出席することで折り合った。

 国には、首相の参加機会を減らすことで首相を守ろうとする旧来型の意識があるのではないか。首相が全協議に出席する必要はないとしても、もっと積極的に関与し、指導力を発揮してほしい。

 協議で重要なのは、実質的な議論を行う分科会だ。どんな分科会を設け、どう機能させるのか。

 鳩山政権は、保育所の設置基準の緩和など義務付け・枠付けの一部見直しには着手したが、国の出先機関の統廃合、国から地方への権限移譲など、より重要な課題は参院選後に先送りするという。

 だが、政府の地方分権改革推進委員会が既に、具体的な提言を示しており、それを基に、早期に議論を始めればいいはずだ。

 新たな協議を生産的な場にするには、「地方が要望を出し、国が小出しに譲歩して、妥協点を探る」という労使交渉のような従来のパターンを脱する必要がある。

 国と地方は既に、「上下・主従」でなく、「対等・協力」の関係と位置づけられている。

 政府は、様々な課題に取り組む地方分権の工程表をまず明示すべきだ。官僚らの抵抗を排するため、政治主導による強力な実施体制も整える必要がある。

 地方も、地方交付税や補助金の増額を要求し、団体交渉するという発想では済まされない。国がどんな権限をどういう形で移譲すれば良いのか。自ら知恵を絞って提案するとともに、新たな役割を担う覚悟を示してもらいたい。

 気になるのは、鳩山政権が「地方分権」の代わりに掲げる「地域主権」という概念だ。

 憲法上の主権は国民にあり、国際法上は国家にある。「地域主権」では、連邦国家に移行するかのような誤解を招きかねない。

 政府が今回、「地域主権」の定義づけを見送ったのも、その誤解を避けるためとされる。大切なのは看板でなく、改革の中身だ。

2010年3月5日00時31分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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