HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 04 Mar 2010 21:14:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:経団連 献金より政策提言だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

経団連 献金より政策提言だ

2010年3月4日

 日本経団連が企業・団体献金を打ち切る。政治との関係を「カネも出すが、口も出す」から、政策を示し実現を促す手法に切り替える。鳩山政権も経団連と協同し国富を増やす道を切り開くときだ。

 企業献金打ち切りは政権交代が経団連の背中を押したと受け止めるべきだろう。経団連は長く自民党一辺倒で献金を続けてきた。

 それが尾を引いているのか、経団連の御手洗冨士夫会長と鳩山由紀夫首相との関係は密とは言えない。献金打ち切りは自民党からも恨みを買っている。献金が特定政党に偏っては政治的中立性が保たれない。有権者は政権交代を促した。献金廃止は当然の選択と言うべきだ。

 首相も政権公約の企業献金禁止に向け、与野党協議機関の設置を民主党に指示した。双方の足並みがそろった今こそ、カネを接着材にしてきた政治と経団連との関係を清算するときだ。

 経団連に問われるのは、デフレ下の日本経済を拡大に転じさせる政策手段を首相に示すことだ。鳩山政権が耳を傾けてくる実効性ある政策の提示が望まれる。

 今、日本の企業は成長著しい中国などに活路を求め、製造業の海外生産比率は十年間で11%から20%にまで上昇した。自動車は実に40%を超え、国内雇用は細る一方だ。海外進出の子会社からの配当を国内に還流させ、情報通信など高付加価値産業に投資して雇用創出にもつなげる工夫がほしい。

 二〇二五年には世界の市場規模が百兆円に達する水ビジネスもその一つだ。日本の水処理は世界のトップレベルにあるとされ、その技術を国内外で広く生かす青写真を描くべきだ。

 技術だけでなく、水事業の運営ノウハウを蓄積している自治体なども加え、オールジャパンで挑む気概が必要だろう。

 外需取り込みで富の獲得を図る韓国は、政府と経済界一体でアラブ首長国連邦の原子力発電所建設を受注し、世界を驚かせた。首相はベトナムで計画中の原発建設を日本企業が受注できるよう自らトップセールスに乗り出すという。官民一体のモデルケースを築き上げてもらいたい。

 日本の輸出は金融危機を境に激減し、かつて十五兆円あった法人税収は五兆円台にまで落ち込んだ。国富がじり貧では子ども手当など「生活第一」も危うくなる。

 企業献金の廃止を機に政府と経団連とのすき間風を封じ、新たな協力関係を再構築すべきだ。

 

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