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社説2 今年も増える中国の国防費(3/5)

 中国政府は2010年度(1〜12月)予算で国防費を前年度実績比7.5%増やす方針を明らかにした。09年度までは21年連続で2けたの増加率が続いていた。中国脅威論にも配慮し10年度はとりあえず1けた増に抑える構えを示したが、それでもアジアでは突出した規模である。

 中国の軍事予算膨張と周辺地域への影響に、引き続き警戒が必要だ。

 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の李肇星報道官によると、きょう開幕する全人代に向け政府が事前に提出した10年度予算案には約5321億元(約6兆9千億円)の国防費を計上した。

 これは09年度当初予算を10.7%上回るが、実績比では7.5%増になるという。09年度の国防費の実績は予算を約143億元、3%程度超過した勘定だ。

 08年度には国防費の実績が予算を15%も超過した例がある。今年度は当初予算案で1けた増に抑えるとはいえ、実際の支出が2けたの伸び率になる可能性も否定できない。

 中国の国防費は07年度に日本を抜いてアジア最大となった。それ以来、日本との差は開く一方で、10年度予算案では日本の1.44倍に拡大した。中国政府は兵器の研究・開発費を国防費に含めていないため、米国防総省は実際の国防費は公表額の2〜3倍に達するとみている。

 国防費の総額だけでなく内訳も不透明だから、中国の軍事戦略への疑念が強まる。従来、中国軍の最大の目標は台湾にあるとみられてきたが、近年の著しい軍拡は台湾を超える戦略的な目標もうかがわせる。

 実際に、日本近海で中国の海洋調査船や潜水艦が頻繁に活動してきたし、沖ノ鳥島は岩礁だと主張して日本の排他的経済水域を抑制しようともしている。こうした動きに、日本は警戒を怠ってはならない。

 ミャンマーやスリランカとの関係強化で、中国はインド洋での存在感も高めている。インドやオーストラリアが国防費の大幅な増額に踏み出すなど、中国の軍拡はアジア・太平洋地域の軍拡競争を招きつつある。

 中国は国防費を含めて軍事面での透明性を高めていく必要がある。不毛な軍拡競争を避けるため、日本政府も働きかけを強めるべきだ。

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