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社説1 温暖化対策法案で原発の推進策を示せ(3/3)

 政府が今国会に提出を目指している地球温暖化対策基本法案で、原子力発電の扱いが定まらない。連立政権を組む社民党が原発推進に難色を示しているためとされる。

 鳩山政権は米中などが意欲的な目標を示すことを前提に、温暖化ガスを2020年までに1990年比で25%減らす目標を掲げる。その達成へ二酸化炭素をほとんど出さない原発の役割は大きい。同法案で原発の推進策を明確に示すべきだ。

 国内に54基ある原発は日本の発電量の26%(07年度)をまかなっている。原発から出る二酸化炭素は建設から運転、廃炉まで含め石炭火力の45分の1、最新鋭の液化天然ガス(LNG)火力の25分の1以下と少ない。発電コストも1キロワット時当たり6円と、火力発電のほぼ半分だ。

 太陽光など自然エネルギーの普及は重要だが、エネルギー全体に占める割合は今は1%強で、コストを抑えて安定供給するには課題がある。

 麻生前政権が20年までに温暖化ガスを05年比で15%減らす目標(90年比で8%減)を示した際、経済産業省は発電量に占める原発の比率を40%に高める必要があると試算した。温暖化ガス25%減なら、原発の比率をさらに高めなければならない。

 民主党は先の衆院選のマニフェスト(政権公約)で原子力について「安全第一に、国民の理解を得ながら着実に取り組む」と記した。社民党の反対を理由に原発に消極的な姿勢を取るべきではない。

 政府はまず、18年度までに予定される9基の新増設が着実に進むよう後押しする必要がある。新潟県中越沖地震の影響で60%まで低下した原発全体の稼働率の回復も急務だ。

 法案づくりと併せて進める行程表で、原発の発電比率や稼働率の回復などの数値目標を盛り込むのが望ましい。稼働率をピーク時(98年度)の84%まで戻すだけで、温暖化ガスは現状に比べ5%減る。欧米のように原発を運転したまま検査できるよう安全規制も見直すべきだ。

 鳩山首相は、ベトナムが計画する原発建設で日本企業が受注できるよう自らトップセールスに乗り出す意向を表明した。日本の原発技術は海外勢と十分に対抗でき、低炭素化と産業競争力の強化を両立させる柱になりうる。

 国内で原発の新規着工は80年代に23基あったが、2000年以降は3基に減った。技術を受け継ぐ若手人材の不足や関連企業の雇用減少が懸念されている。原発の安全性を確保するためにも、原子力の持続的な利用を促す政策が欠かせない。

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