HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 02 Mar 2010 23:16:05 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:予算衆院通過 熟議の国会には程遠い:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

予算衆院通過 熟議の国会には程遠い

2010年3月3日

 二〇一〇年度予算案が衆院を通過した。国民生活への悪影響を避けるには年度内成立は必要だが、財政規律や経済立て直し、個所付けなど予算案の問題点をめぐる論議が尽くされたとは言い難い。

 一〇年度予算案は昨年八月の衆院選での政権交代を受けて、鳩山内閣が初めて編成した予算案だ。

 一般会計総額は九二・三兆円と過去最大。税収見通しは三七・四兆円と前年度当初比18・9%の大幅減となる一方、新規国債発行額は四四・三兆円と膨らんだ。

 国債発行が税収を上回る戦後初の異例事態に、財政規律をどう考えるのか、過去最大の予算規模は疲弊した国民生活を立て直せるのか。予算案審議では本来、そうした骨太の議論が行われるべきだったが、期待外れに終わった。

 また、子ども手当や高速道路無料化、高校授業料無償化など、予算案に盛り込まれた民主党のマニフェスト政策は「ばらまき」か否か、事業仕分けなど財源確保のための歳出削減努力が十分だったかも、熟議されたわけではない。

 その主な原因は、鳩山由紀夫首相の巨額資金問題や、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件など、「政治とカネ」の問題に多くの審議時間が費やされたことにある。

 「政治とカネ」は、国民の政治に対する信頼にかかわる重要な問題だが、その影響で、予算案審議に身が入らないというなら本末転倒だ。参院でも引き続き「政治とカネ」が中心テーマになるのなら何のための予算案審議なのか。

 年度内成立が確定したとはいえ野党側には党利党略を超えた建設的議論を、与党側には野党の主張にも耳を傾ける度量を求めたい。

 もう一つ残念なことは、民主党が公共事業の予算配分を示す「個所付け」を予算案審議前に地方自治体に伝えたことが、情報管理の問題として処理されたことだ。

 個所付けが利益誘導に使われたとしたら言語道断だが、どの事業を優先して予算配分するかは本来、官僚ではなく政治家の仕事だ。

 予算成立まで秘すのではなく、国会など公開の場でその是非を議論するよう、政権交代を機に転換してもよかったのではないか。

 民主党が「政府・与党一元化」の掛け声の下、与党の質問を制限したり、党の政策立案部門をなくしたりしたことが、国会の形骸(けいがい)化につながっていないかどうかも検証すべきだ。

 

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