演説上手といわれる英国のトニー・ブレア前首相が「政府が優先すべき課題は3つ。教育、教育、そして教育だ」とうたいあげたことがある。名せりふである。首相になる約7カ月前、日の出の勢いだった43歳の労働党党首のころだ。
▼この一節を借用するなら、「民主党には問題が3つ。カネ、カネ、そしてカネだ」と言わざるを得ない。小沢一郎幹事長も、鳩山由紀夫首相も、そして小林千代美衆院議員(北海道5区)も。小林議員の陣営に北海道教職員組合から1600万円の違法献金があった疑いで、北教組幹部らが札幌地検に逮捕された。
▼必要なヒトやカネを支持母体の労組が丸抱えして選挙を戦う。そんな構図が透けてみえる。政権を取ったあかつきの公約に企業・団体献金の禁止を掲げた民主党がやることなのか。ましてや、事件には教職員がかかわっている。ブレア氏ならずとも、教育の持つ重さに思いをはせれば、あってはならぬ事と気づく。
▼「久恋(きゅうれん)」という語がある。長くあこがれる、といった意味だ。2010年度予算案がきのう衆院を通過し、鳩山政権初の本予算が年度内に成立する。鳩山さん以下、まずは政策実現に向け久恋の地に立つ思いだろう。しかし、カネまみれとは無縁の政治に抱く世の人々の久しき恋心は、いったいどうしてくれよう。