HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 27 Feb 2010 21:15:00 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:多分、「四分間」の中に、喜びや苦しみが綾(あや)なす「四年…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2010年2月27日

 多分、「四分間」の中に、喜びや苦しみが綾(あや)なす「四年間」を詰め込んだからだろう。時間は美しくゆがんだ▼「長く感じたけれど、あっという間でした」。フリー演技の四分間をそう表現して浅田真央選手は泣いた。バンクーバー五輪の女子フィギュアスケート。われわれは立派な「銀」、胸を張っていい「銀」だ、と思う。だが、「銀」で悔し涙を流さなければならない高みに、彼女は立っている▼今季、突然、得意のジャンプが跳べなくなった。その不調を、失敗を恐れる心の問題だと認めた強さに、まず驚いた。そして、五輪本番までにそれを着実に乗り越えて見せた強さに▼一流運動選手にとって一番やっかいな心という自身の中の“猛獣”。時に屈強な猛者の選手生命を奪いさえする、それを飼いならしたのだ。この五輪は彼女を「かわいい女の子」から「強い女性」に変えた気がする▼さて問題は「金」の行方だ。えっ、キム・ヨナ選手が取った? いや、それは昨日の話。三好達治の詩行を借りれば<昨日の時計はありません/今日を打つのは今日の時計>だ。ソチ五輪に向けて、もう時は刻まれ始めている。そして、そのメダルはまだ今、誰の胸にもかかっていない▼その舞台で、四分間に凝縮する四年間を振り返り、きっと笑顔で浅田選手は言ってくれるだろう。「長く感じたけれど、あっという間でした」

 

この記事を印刷する