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春秋(2/28)

 ゲームには将棋型とマージャン型とがあるそうだ。相手の陣形も戦力もこちらから丸見えの将棋と、手の内が分からないマージャンと。戦術の違いを「自陣を見るか敵陣を見るかの差だ」と説いていたのが、将棋の大山康晴名人である。

▼チャンスとみれば攻め込みたくなる。が、まず自陣の整備に手間をかけねばならないのが将棋。マージャンは反対だ。自分の手づくりに夢中になる前に、乏しい情報を集めて相手の手の内、出方を探る必要がある。守りに重きを置いた大山好みの勝負哲学が、「将棋は自陣、マージャンは敵陣を見よ」だったのだ。

▼そんな昔話を、先日の米議会公聴会での豊田章男トヨタ自動車社長の証言を聞いて思い出した。「会社の成長のスピードに人材育成が間に合わなかった面がある」とは、「世界一」に心を奪われた失敗の告白だろう。将棋で勢いよく敵陣に攻め入ったものの、気づけば自陣がスキだらけだったとでも言えばいいか。

▼そもそも彼の地でこれほどたたかれたのは、世論や政治の表裏など相手の手の内を読んで早めに守りを固めなかったからに違いない。敵陣への警戒を欠いたマージャンのようなものだ。大山将棋同様、トヨタは長く堅実と形容されてきた。その「堅実」を取り戻す勝負は始まったばかり。今週もまた公聴会である。

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