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社説2 もんじゅ再開後の道筋示せ(2/27)

 1995年末のナトリウム漏れ事故から停止している高速増殖炉「もんじゅ」について、日本原子力研究開発機構が地元の福井県と敦賀市に運転再開を申し入れた。地元自治体が了解すれば3月末にも、15年ぶりに稼働する見通しである。

 高速増殖炉は原子力発電所の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを燃料に、発電しながらプルトニウムを増やし、核燃料として再利用する仕組みだ。エネルギーの96%を輸入する日本にとって、ウランを有効に活用する重要な技術である。もんじゅを安全に稼働させ、運転技術を積むのは、そのためにも欠かせない。

 もんじゅの建設・運転費は9000億円を超える。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理も、通常の原発で燃やす分を含め今後40年間で19兆円以上が見込まれる。もんじゅをどう活用し、次の実証炉で経済性を高め、商用炉につなげるかが、大きな課題である。

 運転再開まで長くかかったのは、改造工事に手間取ったためばかりではない。原子力開発機構の前身である動力炉・核燃料開発事業団が情報を隠し地元自治体の信頼を損ねたからだ。政府が高速増殖炉の実用化目標を2030年から50年に後退させるなど、開発路線が揺らいだことも地元の不信を募らせた。

 その間、地球温暖化防止へ原子力の重要性が再認識され、高速増殖炉の役割も増している。

 国際原子力機関(IAEA)によると、中国やインドの原発建設ラッシュで、30年には世界の原発は最大800基と09年に比べほぼ倍増し、ウラン資源も需給逼迫(ひっぱく)が見込まれる。高速増殖炉はロシアやインドは20年に商業化を目指し、中国も近く実験炉を稼働させる。

 もんじゅに次ぐ実証炉は三菱重工業を中心に開発中で、25年までに建設を目指している。だがだれが運転するかが決まっていない。官民の協力体制を確立する必要がある。

 原子力は低炭素社会の要だが、鳩山政権は推進策を明確に示していない。核不拡散のため余分なプルトニウムを持たないとの国際公約を守る観点も含め、政府は高速増殖炉の必要性を丁寧に説明すべきだ。

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