HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 25 Feb 2010 22:16:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:全面禁煙 健康はみんなで守る:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

全面禁煙 健康はみんなで守る

2010年2月25日

 厚生労働省は公共的な施設では原則全面禁煙を求める通知を出す。あくまでも努力義務であり、強制力はない。たばこを吸わない人への被害をなくすため、喫煙者はマナー向上に心掛けたい。

 全面禁煙の対象は、病院や学校はもちろん、官公庁、ホテル、飲食店、駅などの施設のほか、鉄道やタクシーなども含まれる。

 喫煙が人体に悪影響を及ぼすことは多くの研究から指摘されている。非喫煙者であっても、他人の吸うたばこの煙にさらされる「受動喫煙」によって健康被害が懸念されている。

 「分煙」は進んでいるが、喫煙室の仕切りが不十分だったり、ドアの開閉時に煙が流れ出るケースがある。中途半端では受動喫煙は防げないため、全面禁煙で取り組むというのが通知の狙いだ。

 日本も批准している「たばこ規制枠組み条約」は受動喫煙防止策の実現を締約国に求めており、その期限は今月末だ。通知は、対策に迫られての対応ともいえる。

 全面禁煙といっても、罰則規定がないから実効性を疑問視する意見が出ている。海外では公共の場での喫煙を立法化して禁じる例が少なくない。喫煙を黙認した施設管理者に罰金を科す国もある。

 国際的にみれば、日本は喫煙者や業者に相当配慮しながら、少しずつ禁煙対策を進めている。

 全面禁煙には飲食店業者やパチンコ店業者などから反発が強い。四月から施行の神奈川県受動喫煙防止条例は業界の反対を受け、分煙や例外が認められ、当初案に比べて後退した内容になった。

 「喫煙客の足が遠のき、経営に影響する」という訴えだ。だが、牛丼店やハンバーガー店の大手チェーンでは、全面禁煙に取り組んでいるところもある。

 日本の成人喫煙率は減少傾向にあり、いまや四人に一人だ。禁煙を歓迎して訪れる客もいるのではないか。規模が大きい施設であれば全面禁煙を試みてほしい。

 最近は「三次喫煙」の被害を唱える専門家も現れている。受動(二次)喫煙ではなく、喫煙者から出た煙を浴びた衣服や髪などが有害物質を散らすという被害だ。これも全面禁煙なら防ぐことができる。

 喫煙者には、罰則がなくても今回の通知は煙たい内容にちがいない。しかし、無視して公共の場で紫煙を漂わすなら罰則を求める声が高まるだろう。通知を順守することは「喫煙者の権利」を守ることにもつながるのではないか。

 

この記事を印刷する