HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 26 Feb 2010 01:16:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:トヨタ公聴会 自戒を込めて出直しを:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

トヨタ公聴会 自戒を込めて出直しを

2010年2月26日

 トヨタ自動車の品質問題で、同社の豊田章男社長が米下院で証言した。謝罪と反省の言葉に米メディアも比較的好意的な反応をみせたが、問題はまだ残されている。再出発の第一歩にしてほしい。

 世界のメディアが注目した米下院監視・政府改革委員会の公聴会での豊田社長の証言は、三時間以上に及んだ。

 証言の中で豊田社長は、トヨタ車の不具合で死傷したユーザーに謝罪。大規模リコール(無料の回収・修理)に至った理由に関しては、ここ数年の急速な事業拡大の中で、品質管理がおろそかになっていたことを率直に認めた。品質問題が起きた原因をトヨタ自身が真剣に分析し、立て直しに向けて動きだそうとしていることを物語っている。

 米メディアはこれまで、トヨタに対して厳しい論調が目立っていたが、ABCテレビは「豊田社長は謙虚だった」と伝え、CNBCは、豊田社長の謝罪について「率直な態度だった」と報じた。

 米メディアの反応をみると、トップ自らの証言はトヨタバッシングの沈静化に向けて一定の効果を上げたといえる。その意味で、豊田社長の公聴会出席は適切な判断だった。だが、トヨタに対する不信感がこれで一掃されたとは言い難い。前日の公聴会も通して「意図せぬ急加速」問題では真相が明らかにならなかった。

 前日の公聴会では、トヨタ車で急加速を経験したという女性が、トヨタの対応を痛烈に批判。委員からは電子制御システムの不具合を追及する声が相次いだ。これに対して豊田社長は「設計上の問題はないと確信している」と述べ、システムの欠陥を否定した。

 急加速問題についてトヨタは、社内のほか、外部機関にも検査を委託している。これまでの検査では電子制御システムの不具合を示す結果は出ていないという。従って、トヨタとしては「欠陥なし」と答えることに根拠がないわけではない。しかし、さまざまな苦情が伝えられる中でトヨタ車のハンドルを握っているユーザーが世界中にいることも忘れてはならない。

 トヨタは「顧客の視点」に立って「安全を最優先する」と宣言した。全世界のユーザーがトヨタ車の安全性を確信できるまで、徹底した調査を続けるとともに、国内外の当局への報告や報道発表などの形で情報開示に努めてほしい。信頼回復への道はそこにしか存在しない。

 

この記事を印刷する