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社説2 雇用不安強める社民党案(2/25)

 働く人たちの暮らしを守るという党の理念に反しないか。労働者派遣法の改正をめぐる社民党の要求は、雇用不安を広げる恐れがある。

 労働政策審議会は昨年末、労働者派遣に関して例外を設けたうえで禁止する答申を出した。答申に沿って厚生労働省がまとめた法改正案の要綱は24日、審議会で了承された。

 しかし社民党は今後の改正案づくりで、派遣労働への規制をさらに強めるよう求めている。

 社民党は製造業への派遣について、例外として認める範囲を狭めるよう主張する。例外扱いは、仕事がないときでも派遣会社と雇用契約を結ぶ「常用雇用型」のすべてではなく、そのなかで雇用期間の定めのない派遣に限るべきだとしている。

 仕事があるときだけ働く登録型派遣にも社民党は注文をつける。審議会は秘書や通訳などを除いて派遣を禁じ、改正法の公布から5年の猶予期間を設けることにした。社民党はこの期間を製造派遣と同じく3年に縮めるよう求める。社民党の要求に国民新党も同調している。

 こうした修正が反映された場合、雇用に及ぼす影響は大きい。

 要綱通りに法改正されると、2008年6月1日時点の製造派遣の労働者55万人のうち、働けなくなる人は20万人出る。社民党案ではさらに23万人増え、43万人になる。

 登録型派遣も一般事務など禁じられる仕事に就く24万人は、派遣で働ける期間が2年短くなる。将来の生活が心配になる人もいるだろう。

 完全失業率は5%台と高く、職探しは簡単でない。社民党は派遣労働は安定していないので規制が必要というが、雇用を減らしかねない。

 派遣労働を原則禁止とする動き自体に、私たちは警鐘を鳴らしてきた。「働きたいときに働く」ことの否定は、雇用形態の多様化に逆行する。雇用の増えない分野から成長分野へ人材を移すとき、労働市場の機能を生かした労働者派遣は役立つ。

 派遣労働者の賃金などの処遇を改善する手立ては必要だが、派遣労働そのものを規制すべきではない。今後の法改正論議で、派遣の「原則禁止」を見直すよう改めて求めたい。どうすれば経済を成長させられるか、という観点の議論が必要だ。

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