HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 24 Feb 2010 20:16:18 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:<泰平の眠りをさます上喜撰たった四杯で夜も眠れず>。幕末の…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年2月24日

 <泰平の眠りをさます上喜撰たった四杯で夜も眠れず>。幕末の嘉永六(一八五三)年、ペリー提督率いる四隻の黒船が浦賀沖に現れた時の混乱を「上喜撰」というお茶と「蒸気船」に掛けた落首だ▼米国が日本に開国を迫った大きな目的は、捕鯨船の燃料と飲み水などの補給だ。いま「反捕鯨」の急先鋒(せんぽう)である米国は十九世紀、世界最大の捕鯨国だった▼欧米諸国は鯨を乱獲し、燃料となる鯨油だけを採取して肉は海に廃棄してきた。やがて石油が発見されて油が不要になると、捕鯨から撤退した歴史がある▼二十一世紀になった今、米環境保護団体シー・シェパード(SS)が、南極海の日本の調査捕鯨船に悪質な妨害を繰り返す。明らかな違法行為である▼調査捕鯨船に侵入したメンバーは日本の刑法の艦船侵入罪で起訴される可能性があるという。SSのポール・ワトソン代表は「調査捕鯨をやめさせるため、日本の法廷で闘う用意がある」と語るが、目的のために手段を問わない「エコテロリスト」への批判は反捕鯨国にもある▼縄文時代から鯨を食べ、ひげから骨まで無駄なく利用する文化が日本にある。給食で「鯨の竜田揚げ」を食べて育った者として聞いてみたい。なぜ異文化を軽視し、自分たちの考えを押し付けるのか、人間は本来、他の生き物の命を奪わないと生きられない罪深い存在ではないのか、と。

 

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