HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 62131 Content-Type: text/html ETag: "aa30f-15d9-26979b80" Expires: Mon, 22 Feb 2010 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 22 Feb 2010 23:21:10 GMT Connection: close 銀行自己資本 性急な規制強化には副作用も : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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銀行自己資本 性急な規制強化には副作用も(2月23日付・読売社説)

 銀行が自己資本を充実させれば、金融システムは安定する。しかし、景気の本格回復を待たず強引に規制を強化すると、貸し渋りなどの副作用が大きくなる。

 規制強化は、経済・金融情勢を見ながら慎重に進めるべきだ。

 日本のメガ銀行が、普通株の発行による巨額の増資を相次いで実施している。自己資本比率に関する国際ルールが、2012年末から厳しくなるためだ。

 現行ルールは、国際業務を行う銀行に対して、融資など資産の8%以上の自己資本を持つよう義務づけている。特に普通株や優先株からなる「中核的自己資本」は、4%以上が必要である。

 これに対し、新ルールの中核的自己資本には、優先株を含めないよう改める。優先株は業績が悪くても株主配当を減らせず、財務を悪化させる短所があるからだ。中核的自己資本の基準数値自体も、引き上げを検討している。

 こうしたルール改正に備え、欧米勢より優先株が多いメガ銀行が対策に乗り出しているわけだ。

 三菱UFJフィナンシャル・グループが、昨年12月に約1兆円増資したのに続き、三井住友フィナンシャルグループも今年1月、1兆円に迫る増資を行った。みずほフィナンシャルグループも、何らかの対応を迫られよう。

 普通株中心の自己資本に転換すれば、不況時に機動的に配当を減らせ、財務の耐久力は高まる。だが、それには問題も含まれる。

 大型増資が市場の資金を吸い上げ、株安を招いた例もある。株価低迷で増資が難しくなる悪循環も心配だ。銀行が「貸しはがし」で融資を減らし、自己資本比率の引き上げを図る恐れもある。

 主要国の金融監督当局が、自己資本ルールを段階的に導入する期間を「十分長期に設定する」と合意したのは当然といえる。

 米オバマ政権による金融機関の規制強化を懸念し、欧米市場で金融株が売られる局面もあった。規制が行き過ぎれば、金融機能を損ないかねない。注意が必要だ。

 邦銀は主に預金を集め、企業融資や住宅ローンで運用している。市場で高リスクの金融商品を大量売買する欧米の銀行と、同水準の自己資本が必要だろうか。

 こうした金融規制への疑問や主張をぶつける場は先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)などだ。閣僚のメンバーは財務相で、金融担当の金融相は出席できない。「財金分離」が交渉力を弱めていないか、点検が必要だ。

2010年2月23日01時44分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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