HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61002 Content-Type: text/html ETag: "a5345-160c-92328040" Expires: Sun, 21 Feb 2010 22:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 21 Feb 2010 22:21:09 GMT Connection: close 米中摩擦 協調体制への悪影響を避けよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

米中摩擦 協調体制への悪影響を避けよ(2月22日付・読売社説)

 米中関係の雲行きが怪しくなってきた。

 ネット検索大手グーグルへのサイバー攻撃と中国の検閲、米国による台湾への兵器売却やチベット問題などを巡り、年初から米中間に軋轢(あつれき)が生じている。

 こうした中、オバマ大統領が訪米したチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と初会談した。

 中国の度重なる非難にもかかわらず大統領が会談したのは、信教の自由や人権、チベット文化を尊重する米国の立場を、中国など世界にアピールするためだ。

 秋に中間選挙を控え、中国に対する“弱腰”を批判されたオバマ大統領が、人気浮揚のためあえて踏み切った側面もあるだろう。

 米国の兵器売却は、中台関係が改善しているにもかかわらず、中国が台湾海峡沿いに1000基以上のミサイルを配備するなど軍拡姿勢を続け、双方の軍事バランスが崩れかねないためだ。

 中国はこれに反発し、米中軍事交流を中断した。加えて、兵器売却に関与する米企業に制裁を科し、米中で進める国際的な課題についての協力関係を見直す可能性を示唆した。

 もっとも、制裁発表から約3週間が経過したが、制裁する企業名の発表はない。中国は実害を最小限に抑えるため、制裁対象や方法などで苦慮しているのだろう。

 軍事交流は中断したはずだが、米空母ニミッツが先週、香港に寄港した。中国が許可を出したからだ。米中関係をこれ以上悪化させる意思はない、との中国のシグナルなのかもしれない。

 米中は過去30年余りにわたって、「対立・悪化」と「改善」を繰り返してきたが、この間、双方の経済的な結びつきは、G2と呼ばれるほど深まった。

 中国が保有する米国債は日本に次いで世界2位で、米ドルが暴落すれば影響は中国にも及ぶ。

 中国にとって米国は最大の貿易相手国だ。米国の貿易赤字の6割近くが対中貿易によるもので、通貨・人民元の切り上げを求める声が議会や産業界に強まっているが、米国は関係悪化を回避しようと対中姿勢を抑制している。

 米中関係のきしみが続けば、ウラン濃縮を続けるイラン問題への影響が懸念される。国連の追加制裁決議が成功するかどうかは、中国の動きがカギを握っている。

 気候変動や世界景気など重要課題の解決に米中対立を持ち込んではなるまい。両国は昨秋の首脳会談で一致した「戦略的相互信頼」の構築に立ち戻るべきである。

2010年2月22日01時11分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です