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FRB利上げ 「出口戦略」への慎重な一歩(2月21日付・読売社説)

 米連邦準備制度理事会(FRB)が、金融危機に対応した超低金利政策を元に戻す「出口戦略」に、一歩踏み出した。

 FRBは、銀行への貸出金利である公定歩合を0・25%引き上げ、年0・75%とした。公定歩合上げは約4年ぶりで、金融危機で超低金利政策を導入してから、利上げは初めてである。

 バーナンキFRB議長は、今月初めの議会証言で、公定歩合の引き上げを示唆していたが、市場の予想よりも速い決断だった。

 ただし、公定歩合より重要な、短期金利の誘導目標であるフェデラル・ファンド(FF)金利は年0〜0・25%を変更せず、ゼロ金利政策を維持した。

 金融危機は最悪期を脱し、金融市場は落ち着きを取り戻した。FRBは昨年以来、金融機関の資金繰りを支える融資制度を徐々に縮小してきた。今回の利上げも、緊急策を正常化する一環だろう。

 ニューヨーク外国為替市場では、ドルが買われ、ドル高・円安が進んだ。FF金利の引き上げが近いという観測も出ている。

 しかし、FRBが出口戦略をさらに前進させ、ゼロ金利政策を解除するのはまだ先だろう。

 米国経済は、自律回復の軌道に乗ったとは言えず、先行きを楽観できない状態が続いている。

 昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)の伸び率は、実質で年率5・7%増となり、2四半期連続でプラス成長だった。

 だが、今年1月の失業率は9・7%を記録し、年内は10%前後で高止まりすることが予想される。雇用なき景気回復(ジョブレス・リカバリー)は深刻だ。

 深刻な雇用情勢に伴って、個人消費も力強さを欠き、住宅市場は低迷している。企業や個人に対する銀行の融資姿勢も、依然として厳しい。

 FRBは物価安定とともに、雇用確保を最重視する。雇用情勢が好転するまで、FF金利の引き上げは決断しにくいとみられる。拙速な出口戦略を推進すれば、ようやく上向いた景気を腰折れさせる事態も招きかねない。

 一方、超低金利策の長期化の副作用も出ている。金利が低いドルを借りて投資する取引が膨らんで、新興国にバブルが起き、波乱要素になりつつある。

 ギリシャ財政危機の影響が広がり、もたつく欧州経済も世界の懸念材料だ。

 FRBは、内外の金融・経済情勢を注視しつつ、一段と難しい(かじ)取りを迫られよう。

2010年2月21日01時13分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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