HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 20 Feb 2010 21:16:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:高橋初メダル 自分の道、貫き通した:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

高橋初メダル 自分の道、貫き通した

2010年2月20日

 バンクーバーからの朗報が続く。今度はフィギュアスケートでメダルを獲得した冬季五輪の日本勢。緻密(ちみつ)に練り上げた技という「日本らしさ」を存分に生かした快挙をたたえたい。

 バンクーバー冬季五輪の日本勢が熱い。十八日(日本時間十九日)には高橋大輔選手が、フィギュアスケート男子で銅メダルを獲得した。日本選手が初めてオリンピックのフィギュアスケートに出場したのは七十八年前。長い挑戦の歴史の中で、男子がついに初のメダルを得たのだ。強豪ひしめく大激戦をくぐり抜けて、二十三歳のエースが新たな道を切り開いてみせたのである。

 今大会は既にスピードスケート男子・500メートルで、長島圭一郎選手が二位、加藤条治選手が三位に入っている。前回のトリノ五輪は金メダル一個の獲得にとどまったのを考えると、大会半ばで三個のメダルはなかなかの成績だ。スケート以外でもあと一歩という入賞があった。確実な前進を感じさせる健闘と言っていい。

 高橋選手のメダル獲得をあらためて振り返ってみると、まず感じるのは完成度の高さだ。いわゆる天才タイプとはやや違うように見える。最初からずばぬけた技術や華やかな表現力を持っていたわけではないが、じわじわとすべての部分で着実に力を蓄えてきた。その結果、どこにも穴のない、ほぼ完ぺきに練り上げられた演技が生まれたのである。果てしない努力や地道な試行錯誤の積み重ねをいとわない気質を持つ、日本スポーツ界ならではの緻密な取り組みが世界の天才たちをしのぐ結果をもたらしたとも言えるだろう。

 スピードスケートでも、体格やパワーの差を、理想の滑りを求める微妙きわまりない工夫で埋めていくのが日本勢の強みとなってきた。今回のメダルもその伝統に連なっている。世界の厚い壁にはねかえされることの多い日本のスポーツだが、こうして日本らしさ、自分らしさを生かした取り組みをとことん追い求めていけば、世界の表彰台にも手が届くのである。相次いでもたらされたメダルは、あとに続く若手を励まし、導く指針ともなるはずだ。

 高橋選手は安全な演技のみに甘んじることなく、ミスとはなったが4回転ジャンプの大技にも挑んだ。自分らしさの追求も、さらなる進化を目指す果敢な挑戦も。困難に立ち向かって新たな道を開くための、それはどの分野にも相通じる教訓に違いない。

 

この記事を印刷する