HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 18 Feb 2010 22:15:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ギリシャ財政 対岸の火事ではない:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ギリシャ財政 対岸の火事ではない

2010年2月18日

 ギリシャの財政問題が深刻さを増してきた。欧州連合(EU)は当面、ギリシャ自身の対応を見守る構えだが、欧州単一通貨ユーロの信認にも響く。日本も対岸の火事と安閑としてはいられない。

 ギリシャは二〇〇九年の財政赤字が国内総生産(GDP)比で12・7%に膨らんだ。前政権が放漫財政を続けていたうえ、昨年十月の政権交代後、財政赤字の数字をごまかしていた実態も明らかになって一挙に財政危機に陥った。

 ギリシャはEU加盟国のうち十六カ国でつくるユーロ圏の一員だ。ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)が一元的に金融政策を遂行するが、財政政策は各国の主権に任されている。

 ギリシャの財政危機が表面化してから、金融市場では不透明感からユーロ安が進行した。この事態を他のEU加盟国も放置できず、基本的にはギリシャを支援する姿勢を表明している。

 ところが、EUは財政危機に陥った加盟国を救済する具体的な制度が整っていない。同じ欧州とはいえ「なぜギリシャの放漫財政を他国の税金で救済せねばならないのか」という反発も強い。

 十六日に開かれたEU財務相理事会は支援の用意を再確認したものの、当面はギリシャ自身の財政再建努力を待つ姿勢にとどまっている。三月十六日までに再建プランをまとめ、不十分と判断されれば、EUは一段の歳出削減や増税を求める見通しだ。

 財政危機が深刻化した国には国際通貨基金(IMF)が当面の資金を融通する仕組みがある。その場合、支援を受けた国は厳しい緊縮財政措置を迫られる。独仏も加わるユーロ圏の問題を米国の強い影響下にあるIMFに委ねる解決策には、EUの抵抗感が強い。

 ギリシャがEUを脱退したうえでIMFに救済を求める道もなくはないが、EUの威信失墜につながる。ポルトガルやスペインも財政赤字が膨らんでおり、ギリシャの対応を誤るとユーロ安が進み、金融市場が不安定になる懸念がある。世界に不安の芽が広がらないよう、ギリシャとEUには適切な対応を望みたい。

 ギリシャ国債は七割以上を外国人が保有しているのに対して、日本国債は九割以上が国内で消化され、いまのところ海外での信認喪失が日本の財政危機を加速する構造にはなっていない。だが、放漫財政が招くつけを忘れるわけにはいかない。ギリシャ危機は自力更生の大切さを教えている。

 

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