「子どもとケータイ」をめぐる悩みを打ち明ける先生もいれば、習熟度学習のコツを説くリポートもある。塾通いの是非、小学校英語の実践例、道徳の教え方……。日本教職員組合の教育研究全国集会に集まる報告はおそろしく多彩だ。
▼かつて何度も取材に足を運び、教壇に立つベテランがこうした現場ならではのテーマを論じ合うのを聞いてきた。なるほど日教組というのは労働組合のなかでも特異な存在で、誇り高きプロ集団の空気があると感じ入ったものだ。が、それはもちろん組織の一面にすぎない。政治色の強さでもまた特異ではあろう。
▼その傘下の北海道教職員組合は、わけても「戦闘的」らしい。ここの幹部から、民主党衆院議員の陣営に選挙資金が不正に渡った疑惑が深まっている。教組丸抱え選挙の暗部を見る思いだが、そもそも原資の1600万円はどんなカネなのか。陣営の担当者が頼み込むと、組合の事務所で現金がポンと出たという。
▼教研集会で授業改革を熱心に語り合っても、こんなことをしていては世の視線は一段と厳しくなるに違いない。組織率がどんどん落ち込んでいるのも身から出た錆(さび)だと言われよう。それにしてもこの手の問題は北海道だけなのか。一堂に会して議論するのが得意な組織だ。法と倫理研究の全国集会を開いてみては?