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社説2 新型インフルの教訓は何か(2/18)

 新型インフルエンザの流行はとりあえず山を越えたとみられる。第2波を心配する指摘がなおあるが、講じてきた対策を点検し将来をにらんで見直す好機だ。

 ワクチン接種回数がめまぐるしく変わるなど、政府の対応のまずさが目立った。厚生労働省は反省を踏まえ、予防接種法の改正案を通常国会に提出する。

 4年ぶりの改正になるが、新型インフルエンザ対応の応急措置にとどめず、抜本的な見直しを求めたい。ワクチンの国内承認が海外に比べて遅い「ワクチン・ラグ」など長年の懸案の解決を目指すべきだ。

 課題は2つに分けられる。第一は未知の感染症への対応だ。新型インフルエンザは感染力は強いが、亡くなる人は少ない。強毒性の鳥インフルエンザに備えていた政府は、対策の切り替えにとまどった。

 改正では新型インフルに対応する新分類を法律に設け、策を講じるという。それも一案だが、何より大事なのは柔軟さだ。新興感染症は未知との遭遇だ。法律でがっちり固め過ぎず、臨機応変に対処できる仕組みが要る。

 第二に、既知の感染症への対応の遅れもここで取り戻したい。ワクチンの国内承認を加速し、早く使えるようにする契機にできる。子供用の細菌性髄膜炎ワクチンなど、必要性が高いワクチンに政府がもっとカネを出し、接種率を高めることも必要だ。

 接種が広がれば、経営基盤が弱い国内ワクチン産業が開発や生産の体制を整えられ、いざというときのワクチン不足の解消にもつながる。

 承認の遅れは、副作用被害を恐れるあまり行政が過度に慎重になっているからだ。欧米にはワクチンの開発や使用について長期的な視野から行政に助言する専門家組織がある。政治家や官僚の思惑に左右されない独立性の高い組織として、日本でも新設を考えていい時期だ。

 国民にもワクチンへの不安がある。接種の便益とリスクをもっとわかりやすく公平に伝え、納得して接種できるようにする努力は欠かせない。副作用で健康被害が生じたときの救済制度を見直して、万が一の不安のタネを減らすことも課題だ。

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