HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 17 Feb 2010 21:15:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中部空港5年 利便はネットワークで:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

中部空港5年 利便はネットワークで

2010年2月17日

 航空行政がゼロからの再出発を目指す中、地元需要にすがって空港の存続を図る時代は過ぎた。開港五周年の中部国際空港(愛知県常滑市)にとっても、生き残りのかぎは他地域との連携だ。

 国土交通省は「観光立国」の方針に従って、全国九十八カ所に乱造された空港の機能を洗い出し、海外からの観光客を呼び込める環境をゼロから整備し直すという。

 そうなると、空港存続のかぎをにぎるのは、地域全体、あるいは他の空港・地域との連携で観光価値や利便性を高め合う、ネットワークの力である。

 九州の温泉巡り、雪の北海道、ミシュランの旅行ガイドで三つ星を獲得した飛騨白川合掌集落…。このような地域が連携してアイデアを出し合えば、例えばアジアのリピーター向けのパッケージ商品は、これから十分開発できる。

 中部国際空港(セントレア)は中部経済の縮図である。

 二〇〇五年、愛知万博の開催と、地元トヨタ自動車の躍進に歩調を合わせ、中部財界の強い要望で開港にこぎ着けた。

 開港一年目でいきなり黒字を達成し、巡航高度に乗せた。だが、突然の乱気流が待っていた。世界経済の悪化である。

 輸出の減少が中部の製造業を直撃し、〇九年の国際貨物取扱量は開港以来最低にまで落ち込んだ。さらに、燃油高騰のあおりを受けた国際線の相次ぐ撤退や、新型インフルエンザの流行、日航の破綻(はたん)なども重なって、純損益は昨年度、本年度と二年連続で赤字になる見込み。旅客数も開港以来初めて一千万人を大きく下回り、九百十万人前後と予想されている。

 その上、「羽田ハブ(拠点)化」の構想がこのまま実現すれば、人もモノも今まで以上に首都圏へと流れ込む。まさに、試練の六年目だ。

 セントレアは国際貨物の八割をトヨタに頼む。まずここから抜け出さないと、現状維持さえおぼつかない。依存脱却、再浮上へのかぎは、やはり他地域とのネットワークに違いない。

 ゼロから出直すという新たな航空行政も、ネットワークの構築を念頭に置いてもらいたい。ハブ空港、地域の国際空港、そして地方空港それぞれに、さまざまな特色や役割があるはずだ。その役割をつなぎ合わせて、国内の「空港」が一体的に機能を発揮できるよう、仕組みを築いてもらいたい。それが、乗客目線で乗りやすさを向上させるということだ。

 

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