HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17880 Content-Type: text/html ETag: "4aa426-45d8-b1653380" Cache-Control: max-age=5 Expires: Wed, 17 Feb 2010 21:21:11 GMT Date: Wed, 17 Feb 2010 21:21:06 GMT Connection: close
アサヒ・コム プレミアムなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)
「春秋」とは歳月のことを言い、転じて年齢をさす。「春秋に富む」とは若くて将来が長い意味だが、昨今はご高齢に向けて使う誤用も多いそうだ。それは皮肉かと、言われた方は面食らう。齢(よわい)を重ねた人には「春秋高し」という言い方がある▼その「高し」と「富む」が、自民党内でせめぎ合っているようだ。野党転落で檜(ひのき)舞台の減った重鎮たちが、テレビ中継される国会審議に活路を求め、「質問させろ」とやる気満々なのだという。いきおい若手のチャンスは減って、ぼやきの声が止まらない▼5日と8日の衆院予算委の中継時には、質問者10人のうち6人が、派閥領袖(りょうしゅう)ら当選8回以上だった。電波少年ならぬ電波高年というべきか。「人気回復には世代交代が必要なのに、自分だけは別と思っている」と若手は手厳しい▼たしか徳川夢声だったと記憶する。芸について、「自分と同じぐらいのうまさと思ったときは相手の方が数段上」と言っていた。自分を見る目は誰しも甘い。年齢もしかり。自分と同じ年格好に見える人は、実際には何歳か若い場合が多いそうだ▼自民の重鎮には、「春秋高し」ではなく、まだまだ「春秋に富む」心意気の人が多いのだろう。一概に悪いことではない。重鎮という鍋ぶたを吹き飛ばす、若手の噴火力があればいいだけの話である▼きのうは谷垣総裁が、中継付きの晴れ舞台、党首討論に挑んだ。飛距離の出ないスキーのジャンプを見るようだった。若手の目にはどう映っただろう。野党第1党の生命力が萎(な)えてはいないかと、気にかかる。