HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60760 Content-Type: text/html ETag: "1015e1-1244-e713ab80" Expires: Tue, 16 Feb 2010 02:21:15 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 16 Feb 2010 02:21:15 GMT Connection: close 2月16日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

2月16日付 編集手帳

 下手な医者が急病人の知らせに駆け出し、はずみで隣家の幼女を蹴飛(けと)ばしてしまった。「どうしてくれる」と母親が怒る。仲裁に入った大家がなだめていわく、「足で蹴られたぐらいは堪忍せよ。この人の手にかかったら命がない」◆江戸の()(ばなし)にある。こういう話を語れるのも、聞いて笑えるのも、誰もがそこに誇張を読み取るからだろう。そんなヤブ医者は現実にいないと思えばこそ、心おきなく笑うことができる◆政治資金をめぐる醜聞や、冬季五輪の話題に隠れた感はあるが、奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」の事件にはあきれるのみである◆元理事長(52)らが執刀した肝臓の腫瘍(しゅよう)摘出手術で患者が死亡した。心臓血管外科が専門で肝臓は専門外、手術の経験がない上、輸血用の血液も用意していなかった。そもそも腫瘍は良性だったという。元理事長はほかの勤務医にも“専門外手術”を奨励していたというが、報じられているところを総合すれば「めちゃくちゃ」の一語に尽きる◆何がしたくて医師という職業を選んだのか――首をひねりつつ、憤りつつ、気に入りの小咄に封印をする。

2010年2月16日01時13分  読売新聞)
現在位置は
です