HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61535 Content-Type: text/html ETag: "add66-15d1-e9d8680" Expires: Sun, 14 Feb 2010 21:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 14 Feb 2010 21:21:05 GMT Connection: close 離島整備法案 海洋権益確保へ足場を固めよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

離島整備法案 海洋権益確保へ足場を固めよ(2月15日付・読売社説)

 海洋権益を確保するためにも、まず足場を固めなければならない。

 排他的経済水域(EEZ=200カイリ)の保全・利用のための特定離島整備法案が国会に提出された。

 法案の第1の柱は、日本列島の海岸や島の「低潮線」周辺水域を保全区域として指定できるようにすることだ。干潮時に陸地と水面の境となる低潮線は、国連海洋法条約で、領海やEEZ、大陸棚の基線と定められている。

 EEZでは、海底開発や漁業などの権利が沿岸国に認められる。EEZより先に延びた大陸棚でも海底開発の権利が認められており、政府は現在、延伸区域を国連大陸棚限界委員会に申請中だ。

 低潮線は、沿岸工事での掘削や土砂の採取などによって崩れることが多い。その結果、場所によっては、低潮線が陸地側に約2キロ・メートル後退すると、東京ドーム約1700個分の面積に相当するEEZが失われる。

 法案は、保全区域内の掘削などの行為を規制し、違反者には罰則を科す内容だ。

 日本周辺の海底には、「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートや貴金属を豊富に含む海底熱水鉱床が分布する。政府は10年後をめどに商業化を目指している。

 低潮線の保全は、こうした海洋権益確保の基礎となるものだ。保全に乗り出すのは当然だ。

 第2の柱は、遠隔地の島を「特定離島」に指定し、国直轄の整備を可能にすることだ。具体的には日本最東端の南鳥島と最南端の沖ノ鳥島を指定して、港湾施設を建設する。

 両島を基線に設定したEEZはそれぞれ約42〜43万平方キロ・メートルで、日本の国土面積(約38万平方キロ・メートル)を上回る。絶海の孤島だけに、島に港湾施設があれば、その広大な海域での海底資源開発や漁業活動を進める貴重な足場となる。

 気象や海洋環境の研究といった国際的な活動の拠点としても活用したらよい。

 沖ノ鳥島について、中国は「EEZや大陸棚を設定できない『岩』に過ぎない」と主張している。国連海洋法条約では、「岩」だと領海(12カイリ)しか設定できない。

 西太平洋における中国海軍の行動の自由度を広げる意図があるとみられているが、その中国も、沖ノ鳥島が日本の領土であることは認めている。

 自国の領土で港湾を整備することは何の問題もない。法案を早期に成立させて、計画通り整備を進めるべきだ。

2010年2月15日01時32分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です