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社説1 日本企業は景気対策に頼らぬ戦略を(2/14)

 上場企業が2010年3月期の業績の見通しを、相次いで上方修正している。製造業を中心に経営の立て直しに手応えを感じているからだ。業績回復は政府の景気対策に支えられた面もある。対策の効果の一巡後をにらんだ戦略が欠かせない。

 本紙集計では、これまでに09年4〜12月期決算を発表した企業(金融などを除く)の今期経常利益は13%増と、2期ぶりに増加しそうだ。

 特に電機は、金融取引の要因を除いた本業が復調した。大手電機9社のうち8社は、4〜12月期の本業の採算を示す営業損益が黒字だった。

 収益改善の理由は、製造業を中心に需要が回復してきたことだ。新興国だけでなく、国内も省エネ家電の購入を促すエコポイント制度などで、消費が刺激された。シャープの液晶テレビ事業が黒字になったほか、今後もパソコンなど情報家電の伸びを期待する企業が多い。

 製造拠点の統合を予定より早く進めたソニーのように、コスト削減の効果が前倒しで出ている面もある。

 大手自動車7社の今期の営業損益の合計は、前期の3626億円の赤字から6890億円の黒字へと改善しそうだ。トヨタ自動車のリコール(回収・無償修理)の影響は懸念されるが、エコカー減税など各国の支援策で買い替えが続くとみられる。

 しかし、経営陣から聞かれるのは、強気の言葉ばかりではない。「今年の懸念は、世界的にインセンティブ(政府の景気刺激策)の反動がどう出るかどうか」(近藤広一・ホンダ副社長)。政策の需要押し上げに頼るばかりでなく、競争力をいっそう高める努力が求められる。

 TDKは「本格的な景気回復に2〜3年かかる」(江南清司取締役)とみており、10年1〜3月期に、コンデンサーなどの製造拠点の統廃合を進める方針だ。

 鉄鋼大手は、合弁や資本参加を通じて、ブラジルやインドでの生産拡充を急ごうとしている。新興国の成長を取り込むためだ。

 米オバマ政権が新金融規制を提案し、中国などが金融引き締めに転じるなど、世界経済の先行きは不透明だ。日本は鉱工業生産がピークの8割の水準にとどまり、企業の今期の経常利益も危機前の08年3月期の8割に届きそうにない。

 そんななかで、売上高が過去の8割でも、四半期ベースで過去最高の利益をあげた日本電産のような例もある。「新製品・新顧客・新市場」に的を絞って業務の改善を進めたからだ。日本経済の「縮み」を破るのは、企業が自らを変える力である。

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