HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61434 Content-Type: text/html ETag: "a768d-15a1-dae62cc0" Expires: Sat, 13 Feb 2010 22:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 13 Feb 2010 22:21:05 GMT Connection: close 診療報酬改定 中医協の変化を医療改革に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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診療報酬改定 中医協の変化を医療改革に(2月14日付・読売社説)

 中央社会保険医療協議会(中医協)で、2年に1度改定される診療報酬の配分が決着した。

 保険医療の価格である診療報酬の総枠については、政府が昨年末に、医師の技術料など「本体」を1・55%引き上げると決めている。

 歯科を除く「医科」の報酬枠が4800億円拡大することになるため、医療の危機が叫ばれる中でこれをどう効果的に配分するかが問われていた。

 急性期入院医療には、このうち4000億円が振り向けられ、救急や産科、小児科など過酷な勤務を強いられる分野に手厚く配分された。難しい手術の報酬を3〜5割引き上げるなど、ある程度のメリハリをつけたと言えよう。

 今回の改定作業では長年の懸案も二つ、決着させた。

 一つは再診料の統一である。現在は中小病院の600円に対して診療所は710円と大差があり、開業医優遇の象徴と長く批判されてきた。これを病院は90円上げ、開業医を20円下げることで690円にそろえた。

 病院に手厚く報酬が配分されるため、過酷な勤務医の待遇改善が期待される。一方で、地域のかかりつけ医として時間を問わず対応する開業医にも、新たな報酬の仕組みを作った。

 二つめは、受けた医療の費用細目が分かる「診療明細書」を、原則としてすべての患者に無料で発行するよう、医療機関に義務づけたことだ。

 事務処理の電子化が進んでいない医療機関は義務づけられないものの、発行しない理由などを掲示させる。「原則」を骨抜きにさせぬよう注意が必要だが、医療の内容と費用が細かく患者にチェックできるようになる。

 二つの懸案はいずれも、診療報酬改定の年が巡ってくるたびに議論となりながら、開業医の立場を重視する日本医師会などの反対で実現できなかったものだ。

 それが進展したのは、政権交代が結果として中医協での日医の影響力を低下させたことによる。

 政府・民主党は、これまで自民党を支持してきた日医執行部の推薦委員をはずし、民主党に近い日医非主流派の医師や大学医学部長を委員に起用した。医療機関側の委員に組織代表色が薄れ、議論の幅が広がった。

 ただし、今回の診療報酬改定で山積する医療の課題が解決するわけではない。中医協の変化を、医療界全体で取り組む制度改革の議論へと向かわせるべきだろう。

2010年2月14日01時26分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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