ドギーバッグ(doggy bag)という米国生まれの言葉が、わが国でも少しずつ市民権を得始めているようだ▼料理店などで食べ残したものを持ち帰る容器のこと。彼(か)の国の人も最初は体裁を気にしたのだろう。表向きは「わんちゃん(ドギー)の餌にする」ということで、かような呼び名となったらしい▼最近、食品廃棄を減らす運動に取り組むNPO法人「ドギーバッグ普及委員会」(東京)が市民の持ち帰りについての意識を聞いたところ、九割が「賛成」と答えたそうだ。古く、他言語には訳しにくい「もったいない」の価値観を持つわが国だ。当然の結果とも思う▼恐らく、この人たちも「残すのはもったいない」と思ったのだろう。政党交付金制度が導入された後で解散した十七政党が解散後、交付金をどうしたのか調べたら、国庫に返還した党は一つもなかったそうだ。九政党は所属議員の政治団体に寄付するなどして使い切り、残金ゼロ。残る八党も後継政党に引き継いでいた▼言うまでもなく、政党交付金は血税だ。自分で注文した料理みたいに、残った分を好き勝手に持ち帰っていい道理はあるまい。大体、企業献金が政治腐敗につながるからと設けた制度だが、政治とカネの問題だって相変わらずだ▼厳しい家計から政党に渡している大事なお金である。国民こそ言いたかろう。もったいない!