衆院予算委員会は「政治とカネ」の問題を主なテーマに集中審議した。これに先立ち、政治資金規正法違反で起訴された石川知裕衆院議員は11日、民主党に離党届を提出した。
民主党は集中審議を終えたことなどで、鳩山由紀夫首相や小沢一郎幹事長の「政治とカネ」の問題に幕を引きたい考えだが、まだ説明責任は果たされていない。
まず小沢氏が国会の参考人招致に応じ、自らの責任問題などについて説明する必要がある。
民主党は従来、刑事処分を受けた議員の離党届を受理せず、除籍などの厳しい処分を科してきた。小沢氏は今回、自らの秘書時代の形式的なミスだったことを理由に、石川議員を処分しない方針を示している。
しかしこの説明は納得し難い。石川議員が刑事責任を問われている虚偽記入は、政治資金の透明性を求める規正法の趣旨に反する行為で、「5年以下の禁固または100万円以下の罰金」が科される重い罪だ。「政治資金収支報告書のミス」の一言で片付けられる話ではない。
小沢氏の責任も重大である。小沢氏が不起訴になった後も、共同通信の世論調査などで7割の人が幹事長辞任を求めている。
小沢氏には元秘書ら3人が起訴された監督責任と併せ、自らの資金管理団体「陸山会」の土地購入の原資をめぐる説明が二転三転したことなど多くの疑問点がある。国会できちんと説明しなければならない。
石川議員も政治倫理審査会などで弁明することが、国会議員としてなすべき責務である。
首相は集中審議で「国民からみて疑わしいところがあれば、政治家として高い倫理観で説明する義務を負っている」と述べ、小沢氏らが一段の説明責任を果たすよう求めた。当然のことである。
集中審議では、自民党の与謝野馨元財務相が首相の偽装献金問題を取り上げた。与謝野氏は首相の弟の鳩山邦夫元総務相から聞いた話に基づき、首相側が実母に資金提供を働きかけた可能性などをただし、首相が気色ばんで反論する場面があった。
与謝野氏は起訴された元公設第1秘書らの証人喚問を求めた。首相の献金問題もなお疑念が晴れない。