HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 11 Feb 2010 20:15:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:枝野行政刷新相 歯に衣着せずを貫いて:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

枝野行政刷新相 歯に衣着せずを貫いて

2010年2月11日

 鳩山由紀夫首相は枝野幸男元政調会長を行政刷新担当相に起用した。弁護士出身の枝野氏は民主党きっての論客。「政治とカネ」で傷ついた政権立て直しに向け、歯に衣(きぬ)着せぬ言動を貫いてほしい。

 「事業仕分け第二弾をできるだけ早くやらないといけない。国民の民主党に対する信頼を再び回復して高めていくには、できるだけ早く陣頭指揮してもらいたい」

 首相の言葉には、枝野氏への期待感の高さがにじんでいる。

 枝野氏は昨秋、国民の期待を集めた事業仕分けで統括役を務め、舌鋒(ぜっぽう)鋭く事業の必要性に切り込んでいく手腕に対する評価は高い。

 鳩山内閣の支持率は、首相自身や小沢一郎民主党幹事長をめぐる「政治とカネ」の問題もあって、昨年九月発足時の72%から、今月上旬には41%にまで落ち込んだ。

 今春には、独立行政法人や公益法人を対象とする事業仕分け第二弾が予定され、枝野氏が陣頭指揮を執る。首相が枝野氏の手腕に支持率回復を託したのなら、その狙いは理解できる。

 枝野氏起用には、もう一つ見逃せない点がある。枝野氏が「七奉行」と呼ばれる、小沢氏と距離を置く「非小沢系」有力議員の一人だということだ。

 「政治とカネ」の問題をめぐり、多くの民主党議員が沈黙を守る中、枝野氏は小沢氏の責任論に言及し、小沢氏の不起訴決定後も「身を退くことも含めて、しっかりとけじめをつけることが必要だ」と、辞任論を主張した。

 首相には枝野氏を閣内に取り込むことで、小沢氏との距離を保つ意図があるのかもしれない。

 中曽根康弘元首相も当初「田中曽根内閣」といわれ、田中角栄元首相の影響を強く受けているとみられていたが、徐々に独自色を発揮し、五年の長期政権を築いた。

 衆院選を勝利に導き、参院選でも陣頭指揮を執る小沢氏は政権運営に強い影響力を持ち続けるとみられるが、首相が枝野氏起用を機に指導力を強めようとしているのなら歓迎したい。

 国家戦略と行政刷新は民主党が掲げる「政治主導」の両輪だ。枝野氏起用で、仙谷由人担当相の兼務が解消され、ようやく政治主導の確立に向けた態勢が整う。

 枝野氏は先頭に立って無駄な事業に切り込み、浮いた財源を本当に必要な政策に充ててほしい。

 閣内に入った途端、舌鋒が鈍るようなら、国民の期待感が失望に変わることを忘れずに。

 

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