今年は日韓併合から100年にあたる節目の年だ。新世紀の日韓関係を築く好機でもある。
岡田克也外相が就任後初めて韓国を訪問した。11日の日韓外相会談後の記者会見で、岡田外相は「併合された側、痛みを覚える被害者の気持ちを決して忘れてはならない」と語った。そのうえで、これからの100年に向けた、真の未来志向の関係強化に意欲を示した。
日本は1910年8月の日韓併合条約により、朝鮮半島を植民地支配した。この歴史的事実は消えない。歴史問題を巡る日本の政治家の不用意な発言や行動が、日韓関係を損ねてきた経緯は忘れてはならない。新世紀の関係構築には、過去を直視する日本の真摯(しんし)な対応が欠かせない。
鳩山由紀夫首相も先月の施政方針演説で「過去の負の歴史に目を背けることなく、これからの100年を見据え、真に未来志向の友好関係を強化していく」と表明した。年内に予定される李明博大統領の訪日時などには、新共同宣言の採択も検討しているという。
日韓は民主主義や市場経済といった基本的価値観を共有する隣国だ。互いに第2、第3の主要な貿易相手国でもある。歴史的な節目を機に、新たな100年に向けた未来像を築く努力が重要である。
目に見える成果として求めたいのは、日韓経済連携協定(EPA)の締結だ。日本の農産物市場の開放、韓国の慢性的な対日貿易赤字が障害となり、本交渉は2004年11月以来、中断したままだ。今後の成長が見込まれるアジアの需要を共同で取り込むためにも、早期に本交渉を再開してほしい。
北朝鮮の核問題への対応に加え、アフガニスタン支援や地球温暖化対策など、グローバルな懸案への協力も大切だ。今年11月にはソウルで20カ国・地域(G20)サミット、横浜ではアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる。日韓が連携すべき課題は山積する。
外相会談で韓国側は、日本に永住する外国人に地方参政権を付与する法案の成立に期待を示した。その是非をめぐっては日本国内で議論を尽くす必要がある。