HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61726 Content-Type: text/html ETag: "ace22-1614-e1847a00" Expires: Thu, 11 Feb 2010 02:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 11 Feb 2010 02:21:10 GMT Connection: close 新型インフル ワクチン余りの教訓を生かせ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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新型インフル ワクチン余りの教訓を生かせ(2月11日付・読売社説)

 一時は「不足する」と騒ぎになった新型インフルエンザのワクチンが、大量に余りそうだ。

 不足に備えて政府が海外メーカーと輸入契約したワクチンの出荷が、12日から始まる。しかし、全部で接種9900万回分を確保したうち、136回分しか購入希望がない。ほとんどは行き先がない状況だ。

 国産分も5400万回分製造したうち、1000万回分以上が出荷されず、在庫となっている。

 流行が急速に下火になってきたことが最大の原因だ。終息とは言い切れないが、例年の季節性インフルエンザと似た経緯を辿(たど)るなら流行期は終盤に近い。ワクチン接種希望者の急増は考えにくい。

 輸入に1126億円を投じたうえ、ワクチンが大量に余ったことに、医療機関には政府を批判する声もある。だが、新手の感染症は推移の予測が難しい。足りないより良かった。むしろ大切なのは余ったワクチンをどうするかだ。

 欧米でも流行は下火になっており、ワクチンが余っている。米国や仏、独は、メーカーと交渉してワクチン購入を取りやめたり、ワクチンが不足している発展途上国に供与したりしている。世界保健機関(WHO)も、こうした国際協力を推奨している。

 日本も、契約解除がどこまで可能か交渉すべきだ。途上国に対する支援を含めて、新たな活用策も考えてほしい。ワクチンには使用期限がある。余らせた揚げ句に廃棄ではもったいない。

 これを機に、今回の新型インフルエンザ対策について検証をしておくことも大切だ。

 そもそも、ワクチンの大量輸入に至ったのは、国内のワクチンの製造・供給体制が十分でないことが背景にある。これを抜本的に強化する方策や副作用の補償制度など、検討すべき課題は多い。

 昨年4月にメキシコで新型インフルエンザ流行が始まった際、日本は国際空港などで検疫を強化する水際作戦を展開した。だが、その効果と問題点も、政府としてきちんと検証していない。

 医療面では、人口当たりの死亡者数を米国の10分の1以下に食い止めるなど、国際的に日本の水準の高さが注目されている。

 保険制度などが欧米より充実していて病院にかかりやすいことに加え、重症者の治療も適切だったのだろう。ただ、軽症患者が多数受診して病院が混雑するなど、問題点も指摘されている。

 今回の教訓を生かし、感染症への備えを一層充実させたい。

2010年2月11日01時53分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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