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春秋(2/11)

 すし屋、鮮魚店、乾物屋、卵焼き店……。東京・築地の場外市場を歩くと妙に心が弾む。昭和の懐かしい雰囲気と人情味あふれる人々に出会えるからだろうか。寒気が日本列島を包むこの季節でも、市場界わいのにぎわいは変わらない。

▼築地はその地名でわかるように埋め立て地だ。江戸時代に浅草近くにあった本願寺が大火で焼失し、その再建のために門徒らが海を埋めて造成した。そこに関東大震災で被災した日本橋の魚河岸が移転し、業務を始めたのが75年前のきょうである。首都圏の食の拠点として今では外国人にも人気な観光地になった。

▼この築地を巡って、東京都の石原慎太郎知事と都議会の民主党が対立している。都は土壌汚染対策を施したうえで市場を豊洲に移す費用を来年度予算に計上した。民主党は現地での再整備を求めている。築地で施設を建て替えられれば確かにいいが、営業を続けながらの工事は難しく、かつて失敗した経緯がある。

▼築地というブランドは守りたいが、昭和への郷愁に浸っているだけでは済まない。市場は狭くて老朽化が著しいのは事実だ。昨年末には鉄材やコンクリート片の落下事故が続き、応急措置を迫られた。場内での交通事故も年間400件を超す。豊洲の安全性を確認することは当然だが、結論は早く出した方がいい。

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