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大型統合破談 大きかった企業文化の違い(2月10日付・読売社説)

 キリンとサントリーが続けてきた経営統合交渉が決裂した。世界有数の飲料・食品会社をつくる大型再編は、泡と消えることになる。

 だが、グローバル企業への脱皮という両社が統合で目指した方向は、誤りではなかった。それは日本企業共通の課題でもある。

 破談を受け、両社は新たなM&A(企業の合併・買収)を検討する考えという。世界では国境を超えた食品・飲料メーカーの再編が相次いでいる。戦略の立て直しを急いでほしい。

 両社は、統合に向けた交渉を昨年夏から始め、9月には、公正取引委員会に統合の事前審査を申請した。しかし、統合比率や、サントリー創業家の経営への関与をどの程度認めるかなどで、最後まで折り合いがつかなかった。

 キリンは、組織力が自慢の三菱グループの一員として、手堅い経営で知られる。サントリーは、株式の約9割を握る創業一族による独特な経営が特徴だ。結局、企業文化の違いを互いに乗り越えられなかったということだろう。

 水と油のようなライバル同士が交渉に入ったのは、国内市場に頼るだけでは将来はない、という危機感を共有していたためだ。

 国内のビール消費量は90年代半ばをピークに減少を続け、清涼飲料水もここ数年、頭打ちになっている。その一方、アジアなどの新興国では、経済成長に伴う中間所得層の増加で、飲料や食品市場は急拡大している。

 国内では「勝ち組」とされる両社だが、国内首位のキリンの売上高は2・3兆円で、世界首位のネスレ(スイス)の9・3兆円と比べると、4分の1しかない。

 じり貧の国内市場に引きこもらず、世界市場に活路を求める。そのためには、国内市場で収益力を高め、国際的な大型M&Aもできるような、十分な体力をつけなければならない。

 両社が経営統合を目指した目的は、アジアを中心とした世界の市場で、競争に勝ち抜く力をつけるためだった。

 互いの弱点を補ったり買収攻勢をかわしたりする、「守り」ではない「攻め」の再編だったといえる。実現していれば、新会社は内需型企業が世界に打って出るモデルとなり得ただろう。

 グローバル企業の代表であるトヨタ自動車が、品質問題で世界的に窮地に立つなど、国際展開にはリスクもつきまとう。だが、萎縮(いしゅく)は禁物だ。日本企業は「攻め」の姿勢を忘れてはなるまい。

2010年2月10日01時07分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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