HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 09 Feb 2010 22:15:15 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:郵政見直し 国民負担は許されない:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

郵政見直し 国民負担は許されない

2010年2月9日

 郵政事業を見直す改革法案の素案が示された。国の出資割合などは今後に委ねられたが、事業の効率化はじめ内部改革のビジョンは具体性を欠く。「見直し費用」を国民につけ回ししてはならない。

 「昔の官業には戻らない」。亀井静香金融・郵政改革担当相は郵政事業見直しを、こう説明してきたが、素案では郵政の将来像は語られず、全国一律サービス範囲の貯金などへの拡大を打ち出すにとどまった。

 業務形態も持ち株会社の日本郵政と郵便事業会社、郵便局会社を統合して親会社とし、その下にゆうちょ銀行、かんぽ生命保険を子会社としてぶら下げ、四分社を三分社体制に再編成することは決まったが、国の出資割合は与党内調整に手間取り先送りされた。

 郵貯など三百兆円の資金の八割は、今も国債購入に充てられている。銀行に比べ運用利回りが低い非効率な運用が今後も続く見通しだ。国民の富を喪失させないよう、資金運用の向上など新たな方策を見つけ出すよう望みたい。

 解せないのは、郵便局を筆頭に経営効率化についての具体的な視点を欠いていることだ。

 素案は全国一律サービスを郵政グループに課す代償として、その費用が重荷にならないよう税制の優遇策や、財政支援などを講じるよう政府に求めている。国民が納得してくれるか疑わしい。

 全国の郵便局数は二万四千、うち局員が三人前後の旧特定局が一万八千を占める。郵便局会社の社員総数はパートなどの非正規を含め十六万人、郵便ネットワークの維持にかかる費用は年間約一兆三千億円にも上る。

 国民負担を招く郵便局の支援策とともに、郵政グループ自らも効率化や収益向上に挑まねば、国民の理解は得られない。

 世襲が多い旧特定局の維持コストは年間一、二億円、これを親会社直轄の簡易局に衣替えすれば三千万円前後に抑えられるという。

 毎年、六百人前後の旧特定局長が定年などで退職しており、まずは簡易局への転換などで、電子メールの普及によって先細りの一途をたどる郵便局や郵便事業の経営を立て直してはどうか。

 素案は旧特定局の局長らで組織する全国郵便局長会(全特)からの要望が広く反映されている。その全特は昨年の衆院選で国民新党や民主党を支援した。

 郵政見直しは郵便局長らのためではない。国民の利便性向上にあることを忘れるべきでない。

 

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