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春秋(2/9)

 1990年代前半、無名の台湾系企業が売り出した即席めんがあれよあれよという間に中国市場を席巻するのを目の当たりにした。その名は「康師傅」。カンシーフと発音する。あえて訳せば「コックの康さん」といったような意味だ。

▼それまで、中国の庶民に手が届く値段の即席めんはお世辞にもおいしいといえなかった。現地に駐在する日本人は、とんでもない値段で日本からの輸入品を買わざるを得なかった。「康師傅」は味にうるさい日本人も納得させ、値段は輸入品に比べてけた違いに安かった。爆発的な売れ行きは当然と感じたものだ。

▼全世界で1年間に消費される即席めんはおよそ1000億食で、ほぼ半分が中国で食べられる。その巨大な市場でいまや「康師傅」ブランドはシェア5割を誇り、おそらくは世界一である。近年は飲料や菓子も手掛け、中国で指折りの総合食品企業となった。高成長が続くかの地でも特筆される成功物語の一つだ。

▼もともと即席めんは戦後の日本が生んだ発明といえる。庶民の食品として世界的に定着した結果とはいえ日本企業が世界一でないのは寂しい気もする。キリンとサントリーの経営統合断念で日本の食品業界が国際舞台で取り残されるとの懸念が出ている。即席めんを超える新たな成功物語は無い物ねだりだろうか。

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