HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 05 Feb 2010 21:16:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:将来の夢は何ですか? インタビュアーの直球の質問に彼も直球…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年2月5日

 将来の夢は何ですか? インタビュアーの直球の質問に彼も直球の答えを返している。「俺(おれ)ね、永遠のヒーローになりたいの」▼彼とは、朝青龍関。母国の英雄チンギス・ハーンとまではいかなくても、と言って、こう続けている。「今の相撲界で活躍して大、大横綱になりたいな。今まで69人しかいない横綱のトップになりたい」(野村誠一企画・撮影『横綱 朝青龍』)▼そう語ったのは、例のサッカー問題による二場所出場停止が解け、二〇〇八年春場所で復活優勝した後の時期。その横綱が昨日、突然、引退を表明した。知人男性に暴行した問題で、「けじめ」をつけたのだという▼土俵上のことだけでいえば、とにかく記録ずくめの強さ。この初場所でも史上三位となる二十五度目の優勝を果たしたばかりだ。少なくとも数字の上では、<トップ>になるのも不可能ではなかっただろう▼だが、その不品行は、たびたび問題化。横綱の前に「悪童」「お騒がせ」といった冠言葉がついて回り、夢見たヒーローとは裏腹に「角界のヒール(悪役)」の異名まで。あふれる才を持ちながら土俵外のことで自ら<大、大横綱>になる道を絶ってしまったことは、残念でならない▼日本人力士はふがいなく、誰もが認めるヒーロー不在の大相撲である。その上、独特の光芒(こうぼう)を放った“ヒール”も消え…。土俵が寂しくなる。

 

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