HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 63229 Content-Type: text/html ETag: "a4d75-1d59-b231a6c0" Expires: Fri, 05 Feb 2010 03:21:07 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 05 Feb 2010 03:21:07 GMT Connection: close 小沢氏不起訴 重大な政治責任は免れない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

小沢氏不起訴 重大な政治責任は免れない(2月5日付・読売社説)

 民主党・小沢幹事長の資金管理団体による土地購入事件で、東京地検は元秘書の石川知裕衆院議員ら3人を政治資金規正法違反で起訴した。

 小沢氏は「嫌疑不十分」で不起訴となった。しかし、自らの政治資金をめぐる事件で、元秘書ら3人が刑事責任を問われたことを厳しく受け止めねばならない。政治責任は重大である。

 ◆事実関係を正確に語れ◆

 小沢氏は不起訴処分について、「公平公正な捜査の結果だ」と語った。そう言う以上、不起訴理由が「嫌疑不十分」で、いわば“灰色”とされたことも、謙虚に認めるべきだろう。

 小沢氏は従来、「捜査中」を理由に事実関係を十分説明してこなかった。捜査が終結した今、国民に対して、より詳細な説明を行う責任がある。

 一方、野党から議員辞職勧告決議案を提出された石川議員は自ら進退を判断することが大事だ。

 今回の事件の焦点は二つある。一つは、土地購入の原資の4億円を政治資金収支報告書に収入として記載しなかったことに小沢氏は関与していたのかどうか。

 もう一つは、その中に、ゼネコンからの裏献金が含まれていなかったのか、である。

 起訴された石川議員は、調べに対し、小沢氏の事件への一定の関与を認める供述をしていた。

 小沢氏からの4億円を隠すため金融機関から同額の融資を受けることや、4億円を収支報告書に記載しない方針のいずれも報告し、了承を得ていたという。だが、小沢氏は関与を全面否定した。

 地検は、岩手県の胆沢ダムの下請け工事を受注した中堅ゼネコンの元幹部から、土地購入直前に5000万円を石川議員に渡した、という供述も得ていた。これに対しては、小沢氏だけでなく、石川議員も一貫して否認した。

 小沢氏は、原資について「個人の資金」と説明した。

 地検は、こうした反論を突き崩せず、虚偽記入への関与を明確に示す証拠も得られなかった。

 だが、今回の事件は、小沢氏がいまだに強調するような「形式的ミス」ではない。

 原資に関する説明は、「政治献金」から「金融機関の融資」「個人資金」へと変転した。「政治献金」という説明は、小沢氏自らが資料まで示して行ったものだ。

 ◆なお残る多くの疑問◆

 資金管理団体の収支報告書の実態と異なる記載は、石川議員らの起訴事実となった計20億円余りの虚偽記入を含め、総額約30億円にも上る。関連政治団体との間で、複雑な資金移動を繰り返したのは、何のためなのか。

 小沢氏は、野党の求める国会招致に応じ、こうした疑問について丁寧に答えるべきだ。

 小沢氏は、不起訴処分を受けて「幹事長の職責を返上しなければならないとは考えていない」と、続投する考えを表明した。鳩山首相も、これを容認している。

 だが、首相は以前、「秘書の犯罪は議員の責任」「私なら議員バッジを外す」と明言し、自民党議員らを追及していた。今回、小沢氏の責任を問えないのは、偽装献金事件での自らの責任にはね返るからと見られても仕方がない。

 国会議員と秘書は本来、日常の政治活動から資金集めまで、一心同体の関係にある。一連の事件で起訴されたのは、すべて議員秘書だが、「トカゲの尻尾(しっぽ)切り」を続けることは許されない。

 秘書だけが責任をとらされるような現在の仕組みに関して、法改正を検討する時だ。

 ◆検察も十分な説明を◆

 疑惑を解明しきれなかった検察にも問題がある。

 地検は、小沢氏不起訴の理由について、石川議員らとの共謀に問う証拠が足りなかったとし、捜査批判には「特定の政治家を狙ったわけではない」と言うが、この説明では不十分だ。

 社会的に注目を集めた事件の捜査結果は、公判を控えているとはいえ、しっかり説明しなければ、批判が高まりかねない。

 政府・民主党内では、石川議員の不起訴を「望みたい」という首相発言をはじめ、検察捜査への介入と受け取られるような不穏当な言動が繰り返されてきた。

 小沢氏の不起訴を機に「民主党対検察」という不毛な対立が再燃することがあってはなるまい。

 一方、一連の事件報道に対し、民主党や支持者などから、検察の意図的な情報漏洩(ろうえい)に基づくものではないか、という批判もあった。これは誤解である。

 読売新聞は真実に迫るため、検察官や弁護士、ゼネコン関係者などに幅広く、丹念な取材を積み重ね、その結果を報じてきた。今後も同様の姿勢で取り組み、国民の知る権利に応える報道機関としての責務を果たしていきたい。

2010年2月5日01時18分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です