HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 04 Feb 2010 21:16:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:プリウス苦情 原因の究明が最優先だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

プリウス苦情 原因の究明が最優先だ

2010年2月4日

 トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」のブレーキに関する苦情が日米当局に寄せられている。日本の工場で生産した車。トヨタは早急に原因を突き止め、対策を講じなければならない。

 米運輸省の道路交通安全局(NHTSA)には、昨年五月に発売された新型プリウスについて、ブレーキに関する苦情が百二十三件寄せられた。国内でも国土交通省に対して十四件の苦情があった。

 いずれも、くぼみのある道路で衝撃を受けた際や、滑りやすい路面を走行中、瞬間的にブレーキが利かなくなるとの内容だ。因果関係は現時点では明らかになっていないが、千葉県松戸市では昨年七月、プリウスを運転していて人身事故を起こしたドライバーが「ブレーキが利かなかった」と話したという。米当局によると、米国では四件の事故が発生し、二人がけがをした。

 トヨタは、踏み込んだアクセルペダルが戻りにくくなる車両欠陥で、北米、欧州、中国などで十四車種、計四百四十五万台のリコール(無料の回収・修理)に追い込まれた。アクセルペダルに続き、今度はブレーキの不具合が指摘された。いずれも車の安全性に直結する部品だけに、深刻な事態だ。

 プリウスは、発売翌月の昨年六月から車名別の国内新車販売台数で七カ月連続で首位に立った。二〇〇九年年間でも、ハイブリッド車としては初めてトップになり、〇九年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。人気は衰えず、今申し込んでも納車は六月以降という人気車種だ。背景にはトヨタ車の品質に対する大きな信頼がある。

 それだけに、今回の問題はトヨタにとって打撃となるだろう。エンジンとモーターを併用するハイブリッド車のブレーキは、通常のエンジン車と同じ「油圧ブレーキ」と、減速時のエネルギーで発電する「回生ブレーキ」を搭載している。専門家の間には、二つのブレーキの連動に問題があるのではないかとの指摘もある。

 大規模リコール問題でラフード米運輸長官は、トヨタの対応の遅れを批判した。プリウスに関してトヨタは「事実関係を調査中」としている。

 しかしながらプリウスはいまやトヨタの顔であると同時に、日本の産業界の環境技術を象徴する存在でもある。対応を誤れば、トヨタに対する信頼が失われるだけではなく、日本が世界に誇る環境技術への疑念も生じかねない。

 

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